韓国とロシアが国税庁長官会議を開催 ロシア進出韓国企業の便宜などで協力

韓国国税庁長官がロシアを訪問し、史上初めて両国間の国税庁長官会議を開いた。今回の会議をきっかけに域外脱税の協力ネットワークを拡大する一方、現地に進出した韓国企業の友好的な税務環境を期待するための動きだ。

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韓国国税庁は、キム・デチ長官が23日、ロシアのモスクワを訪問し、ダニエル・イェコロフ=ロシア国税庁長との間で長官会議を27日に開催したと明らかにした。この席で両国は域外脱税ブロックのための相互協力について意見を交換。これにより、両者間の戦略的情報交換の活性化と、新たな国際協調手段として位置付ける「多国間の自動情報交換」で積極的に協力することにした。

課税当局間の協力は、税務当局にとって、域外脱税対応に効果的な手段である。迅速な情報交換を通じて納税者が提出していない課税証明を確保することができるからだ。

また、キム庁長は、企業の税務の不確実性と二重課税の問題を解消するため、ロシア国税庁に合意(MAP / APA)制度を迅速かつ実効性があるよう実行することを要請した。イェコロフ庁長もこれに積極的に答えた。

MAP(Mutual Agreement Procedure)は、国際取引の税務調査などで納税者に二重課税が発生時に、課税当局間の協議を通じて、これを解消するための手順である。また、APA(Advance Pricing Arrangement)は親会社と海外進出子会社間の特定の国際取引に適用する前の価格を、両国間で事前に合意する制度をいう。

キム庁長は、長官会議に先立って行われた「ロシア進出企業の税政懇談会」で聴取した韓国企業の税務の問題点を、ロシア国税庁に伝達し、積極的な税政支援を要請した。

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(写真:長官会談を行った韓国のキム・デチ国税庁長官とロシアのダニエル・イェコロフ国税庁長官=韓国国税庁提供)

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