政権交代はかんたんにできる?!何が投票に繋がるの?乙武洋匡が三浦瑠麗さんに聞く!

選挙ドットコムでは、乙武洋匡氏をMCに迎え選挙や政治の情報をわかりやすくお伝えするYouTube番組「選挙ドットコムちゃんねる」を毎週更新中です。

今回は2020年2月7日に公開された対談の様子をご紹介。ゲストは国際政治学者・三浦瑠麗さんです。野党が選挙に勝つ方法や日本人の価値観について伺いました。

 

2人の共著『それでも、逃げない』について

最初の話題は、2人の共著『それでも、逃げない』について。乙武氏が、「反響はありましたか?」と尋ねると、三浦氏は、「面白かったと言っていただいたり、もう少し軽いかなと思ったら深かったと言っていただいたりしている」と話しました。

乙武氏のまわりでは、2種類の「意外だった」という声が届いているのだそうです。1つ目は、「もう少し政治に関する内容の本だと思っていたら、それぞれの生き方やものの考え方が中心で意外だった」という反応。2つ目は、「三浦瑠璃さんの中身が、イメージしていたものと比べて意外だった」という反応。乙武氏は、「意外だったという感想を狙って本を出したので、良かったと思う」と話しました。

本の中では、三浦氏が遠慮なく質問をぶつけているシーンがあり、乙武氏は毎回赤裸々に答えているのだとか。「ぜひ本を手にとっていただければと思います」と乙武氏はPRしました。

山猫総合研究所が発表した調査結果について

続いて、選挙・政治の話題に移ります。現在は、山猫総合研究所というシンクタンクを経営されている三浦氏。乙武氏が、「どんなことをやられているのですか?」と尋ねると、「基本的には私の言論・出版活動です。そして、意識調査もしています」と三浦氏は答えます。

乙武氏は山猫総合研究所が発表した『日本人価値観調査2019サマリー』が興味深かったそうで、三浦氏に解説を求めました。三浦氏は、「なぜこの人・この政党に票を入れたのですか?と正面から聞くと、人々は嘘をつく。あるいは調査側が示した選択肢に引きずられ、こういう風に解答するのが望まれているのだろうなと良い子ちゃんをしちゃう」と話します。

また、何の要素が投票に繋がっているのかを調査したところ、憲法9条日米同盟に対する考え方にほぼ集約されることが分かったのだそうです。

三浦氏は、「この2つの話題はいつでも争点になるから、結局いつ選挙をやっても同じということになる。だからこそ、どの価値観が日本人は収斂(しゅうれん)していて、どの価値観だったらリベラル寄りの人が多いかということをしっかり丁寧に聞いた上で、民意の価値観のあり方を探ってみようというものが今回の調査だったんです」と話しました。この調査結果は、ネット上に無料で公開されています。

野党が選挙で勝つ方法

乙武氏は、「いつ選挙をやろうが憲法9条と日米同盟については各政党とも立場を変えることはほぼない。そうすると野党はどうやって選挙に勝てば良いのですか?」と尋ねます。

三浦氏は、「野党として小選挙区で勝てるような塊をつくるには、積み上げた基盤をつくらなければならない。この基盤は安全保障が重要。野党は自分たちの価値観を微妙に調整して、多くの有権者がいる中道的なところに安全保障の価値観を持っていく。そのうえで経済や社会政策で差を出せば、社会政策的にはリベラルな人の数が多いから有権者を持っていけるかもしれない」と話しました。

また、「自民党は安全保障でリアリストだから今は優位に立っている。だが、もし10年後20年後に憲法改正が実現し、日米同盟についても論点がなくなれば、自民党唯一の比較要因が崩れることになる」と話しました。

続けて乙武氏は国民民主党の名前を挙げ、「現実的な安全保障政策を唱えていて、家族に関する政策ではリベラルな政策を打ち出している。国民民主党はもう少し数字が獲れていても良いと思う」と投げかけます。

三浦氏は、「国民民主党の支持をパネル調査で探ろうとすると、いくつかの県に偏る。個人の議員が支持されていることはあるが、個人と党を比べたときに党のブランド力が弱い。国民民主党は安全保障と経済成長でリアリストからの信頼を得ながら、女性の権利や環境保護についてもっと言い出したら状況も違ってくる。社会リベラルがもう少ししっかりとした政党の価値観になっていったり、支持組織の価値観になっていったりしたら随分違うはずだ」と話しました。

乙武氏は、「日本の政治勢力を2つに分けるとしたら、何がしっくりきますか?」と質問します。三浦氏は、「輝け憲法派か輝け憲法派じゃないかの2分類が、今の日本の政治をいちばん表していると思う」と答えました。「輝け憲法派はいわゆる戦後護憲的な考え方を持っている人たちで、この人たちの人数は多数派ではない。輝け憲法じゃない派は、どうでもいいやと思っている人から、全文書き換えたいという人まで多様に含まれている」と説明。

続けて、各政党を例に出して話します。「改憲派の人たちは伝統的に自民党支持だった。それがパクッと割れて維新を支持する人たちと自民党に残る人たちに分かれた。だから大阪限定で政権交代が実現した。これが日本全体になれば容易に政権交代は実現できる」と話しました。

 

三浦瑠麗氏プロフィール

1980年、神奈川県生まれ。国際政治学者。東京大学大学院博士課程を修了後、東京大学政策ビジョン研究センター特任研究員、日本学術振興会特別研究員、青山学院大学兼任講師などを務め、現在は山猫総合研究所代表取締役。執筆、言論活動を続ける一方で、テレビ番組でも活躍している。

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