初の160km耐久はグエリエリ組がポール獲得も、コロネル組が逆襲の勝利/TCRサウスアメリカ第2戦

 WTCR世界ツーリングカー・カップでFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCRをドライブするエステバン・グエリエリ(ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ)や、同じくWTCRでは第2世代アウディRS3 LMSのステアリングを握るトム・コロネル(コムトゥユーDHLチーム・アウディ・スポーツ)らの参戦で話題となった、2021年創設TCRサウスアメリカ・シリーズの第2戦がブラジルのクリティバで開催された。

 7月24~25日開催の160km耐久戦に向け、ホセ-マヌエル・サパーグとタッグを組んだグエリエリ組が幸先良くポールポジションを獲得したものの、アクション満載となった決勝ではロドリゴ・バプティスタ(アウディRS3 LMS/コブラ・レーシング)と初代アウディRS3 LMSをシェアしたコロネルが大逆転勝利を飾っている。

 南米大陸4つの開催国で構成されたカレンダーで、初年度全8戦のイベント開催国がアナウンスされたTCRサウスアメリカだが、現状は主要国と言えるブラジルとアルゼンチンがそれぞれ最多の3戦ずつを実施し、その間にウルグアイを挟んで、チリで最終戦を迎えるスケジュールが予定されている。

 そのうち意欲的な試みとして、コドライバー登録によりピット作業時のドライバー交代を盛り込んだ2戦の耐久レースが組み込まれており、その初戦として第2戦クリティバで初のエンデュランス・イベントが開催された。

 そんな長距離戦に向けた予選は、レギュラードライバーとそのコドライバーがスプリットセッションでそれぞれラップタイムを計測し、1台のコンバインドタイムでグリッド順が決定する方式が採られた。

 今回、スクアドラ・マルティーノとジョイントしてホンダ・シビックをドライブしたグエリエリは、電動ワンメイクの“ジャガーIペース eトロフィー”参戦経験を持つセルジオ・ヒメネスと、今季もSCBストックカー・ブラジルにも参戦中のベテラン、ベト・モンテイロ組の新型ヒュンダイ・エラントラN TCR(CJモータスポーツ)を約コンマ2秒上回り、貫禄の走りでグリッド最前列を獲得。

 現選手権リーダーのぺぺ・オリオラ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/W2レーシング)は、地元ブラジル出身のマルチェロ・コスタと組み5番手。注目のコロネルはアタック中に電気系トラブルに見舞われる厳しい予選となり、全11台中10番手から明日の決勝1時間、または最長40分のレースに挑むこととなった。

 慣れ親しんだシビックでスタートドライバーを担当したグエリエリは、ポールシッターとしてターン1でのホールショットを狙ったものの、フロントロウに並ぶヒュンダイ・エラントラに刺され、ヒメネスに先頭を奪われるまさかの展開でレースが幕を開ける。

ホセ-マヌエル・サパーグとタッグを組んだエステバン・グエリエリ組が幸先良くポールポジションを獲得する
スタートドライバーを担当したグエリエリは、ポールシッターとしてターン1でのホールショットを狙ったが……
元GP2経験者セルジオ・ヒメネス率いる“Scuderia CJ”の新型ヒュンダイ・エラントラN TCR

■レースはスタートから波乱が続き、コロネル組が大逆転

 しかしスチュワードはこのパッシングを審議対象とし、コーナーで4輪カットした「走路外走行」と判定してドライブスルーの審判が下される。これでグエリエリがトップランを奪回し、2番手にW2レーシングでラファエル・レイスと組むヴァルデノ・ブリトー(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)、そして3番手には早くも上位進出を果たした電動ツーリングカー『PURE ETCR(ピュアETCR)』レギュラーのロドリゴ・バプティスタ(アウディRS3 LMS/コブラ・レーシング)が浮上してくる。

 するとここから立て続けに波乱が巻き起こり、首位グエリエリのシビックは12周目に左フロントのパンクに見舞われると、なんとかタイヤ交換を果たしてトラックに復帰。しかしこの際にダメージを受けたか、ドライブシャフトの破損によりレースから去ることとなってしまう。

 続く15周目には“スクーデリアCJ”ことCJモータスポーツが走らせるもう1台のヒュンダイ・エラントラN TCRが右フロントのパンクでコース上に停止し、車両回収のためセーフティカー(SC)が導入される。すると、同じSCピリオド中に直近のIMSA Michelin Pilot Challenge(ミシュラン・パイロット・チャレンジ)で2位表彰台を獲得したロイ・ブロック/ティム・ルイス組のアルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCRもパンクでストップし、レースは21周目に仕切り直しとなる。

 首位争いはそれぞれ、レイスのシビックとコロネルのRS3 LMSに引き継がれ、ジリジリとホンダを追い詰めたアウディは、残り2周の時点でアタック。このバトルの際に左フロントのパンクチャーに見舞われたレイスは為す術なくポジションを失い、終盤で大逆転を果たしたコロネル/バプティスタ組が39周のトップチェッカーをくぐった。

 2位のヒメネス/モンテイロ組のエラントラに続き、3位に入ったファビオ・カサグランデ/ジェームス・ヴァンス組(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR/KMWモータスポーツ with TMRエンジニアリング)だが、レース後に「ピットストップ中の作業違反」が取られ20秒加算のタイムペナルティ。これにより失意の4位でフィニッシュしていたレイス/ブリトー組のシビックが、からくも3位表彰台を手にした。

 この結果、ラップダウンながら6位完走を果たしたオリオラが選手権首位をキープし、ロドリゴ・バプティスタが2位浮上に成功。続くTCRサウスアメリカ第3戦は、8月28~29日にヴェロパークでの通常フォーマット、スプリント戦が予定されている。

左右を問わず、160kmのレース中には多くのマシンがフロントタイヤのパンクに悩まされた
レイスのシビックとコロネルのRS3 LMSが終盤の優勝争いを展開するも、思わぬ結末に……
直近のIMSA Michelin Pilot Challenge(ミシュラン・パイロット・チャレンジ)で2位表彰台を獲得したロイ・ブロック/ティム・ルイス組のアルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCRもパンクでストップ

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