【サーフィン】五十嵐カノアが悔し涙の銀! 素顔は5か国語操るエースも波読み切れず

敗れるも最後に大技を見せた五十嵐

日本サーフィン界のエースが意地を見せた。東京五輪から追加種目となった27日のサーフィン男子で、五十嵐カノア(23=木下グループ)が銀メダルを獲得した。

台風8号の接近に伴い、千葉・一宮町で開催された競技は、決勝が1日前倒しで開催された。強風で波が荒れる中、準決勝では〝世界最強〟と称されるガブリエル・メディーナ(ブラジル)を最後に大技で逆転し、銀以上を確定させた。

「決勝に進出できたのは特別な気持ち。金メダルを取るだけ。今は90%、次は100%で。気持ちを切り替えて頑張ります」と強い気持ちで臨んだ決勝ではイタロ・フェレイラ(27=ブラジル)と激突。序盤から高得点を叩き出す相手に対し、うまく波に乗れない時間帯が続いた。

合計得点6・60点の五十嵐に対し、フェレイラは15・14点と大差がつき、競技後は「ファイナルまで来たことで、特に金メダルを取りたかった。チャンスがなかったことがすごく悔しい。このスポーツはそういうことがあるので。準備はできていても点数が出ないので…」。時折声を詰まらせ、目には涙が。言葉の節々に悔しさがにじんだ。

日本人の両親を持つ五十嵐は拠点を米国に置き、3歳から競技をスタート。6歳の時にはスポンサーがついた。2017年までは米国選手として活動していたが、18年に国際サーフィン連盟(ISA)により国籍登録変更が承認され、日本代表としての活動が可能となった。

日本語と英語の他、ポルトガル語、スペイン語、フランス語の5か国を使いこなし、波を読む分析力にもたけている。五輪代表入りが決まる前から「金メダルが目標。『サーフィンで初めて金メダルを取ったのが日本人』というニュースを届けたい」と公言し自分にプレッシャーをかけてきたが、あと一歩が届かなかった。

「今回の結果は目標に近かったけど、目標じゃなかったので。みんなの応援で力をもらってメダルを取ったのはうれしいけど、あともうちょっと。惜しかったと思う」。確かな爪痕を残した23歳のイケメンサーファーは、今後も注目を集めそうだ。

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