【侍ジャパン】サヨナラ勝ちも問題山積 先制打浴びた青柳「使いづらくなった」と評論家

先制打を許した青柳

東京五輪・野球日本代表の侍ジャパンが28日、オープニングラウンド初戦でドミニカ共和国と対戦。4―3の逆転サヨナラ勝ちで白星スタートを切った。2点リードされた9回に村上(ヤクルト)のタイムリーとスクイズで同点に追いつき、坂本(巨人)がサヨナラ打。幸先のよい船出となったが、この試合をネット裏の評論家はどう見たか。

【新IDアナライザー・伊勢孝夫】最後はどうにかこうにか勝てたけど、先が思いやられるね。そんな印象を受けた。

相手の先発は手の内がわかっているはずのメルセデス(巨人)。それに6回まで1安打しか打てないとは…。初対戦でデータがほとんどない投手に対するような緊張感が、日本チームにあったのだろうか。

メルセデスは100球で崩れるパターンが多いなど、スタミナに問題がある投手。ならば山本(オリックス)をメルセデスより先に降板させるのではなく、もう1回投げさせてメルセデスの様子を見る手もあった。その後の登板間隔もあくわけやし、山本を88球で降板させるのはもったいなさすぎる。この試合に「負けてもいい」という感覚だったのなら、まあいいと思うが。

ただ、これで先制打を浴びた青柳(阪神)は使いにくくなった。首脳陣としては青柳のような変則投手は使いたいところだろうが、左打者に対してはもっとインハイをついて、シンカーを有効的に使えるようにしないとダメや。今後は右打者が並ぶ場面とか、勝敗にあまり関係のない場面で使っていくことになるのではないか。短期決戦でミソをつけた選手を使い続けると大変なことになる。北京五輪の岩瀬やG・G・佐藤がいい例や。

2点を追う7回の攻撃にも疑問が残る。無死二、三塁で打者は菊池涼(広島)。数少ない小技ができる選手に回ったのに、普通に打たせて三振やった。無死からスクイズはやりづらいというのはわかる。ただ、菊池涼はプッシュもできるし、セーフティースクイズという選択肢もあったのではないか。1点返してなおも一死三塁という状況を作れば、相手にとっても前進守備をとるかどうか判断に迷う。継投でミスった直後だっただけに、またベンチで動いて失敗したら…という思いがあったのか。首脳陣が選手にバントのサインを出すのに気を使いすぎていては、チームとしてまとまるものもまとまらない。9回にやっとスクイズをやったが、やるなら7回の場面やろう。

今後の戦いについては、稲葉監督は「非情」になることや。使えると思った選手をとことん使い倒して、出場機会を与えない選手が出ても「仕方がない」と割り切ること。ベンチ入りの人数が24人と少ないことから、効率的に考えてしまいがちだが「特定の選手に負担がかかりすぎないよう」「まんべんなくみんなにチャンスを与えてあげよう」という親心は、こうした大舞台では、かえって足かせになる。

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