あの水戸黄門も恐怖を味わった心霊スポット 千葉の「禁足地」に行ってみた

東京五輪の応援で熱くなった体を冷やすのにもってこいの場所を教えます。あの水戸黄門も恐怖を味わった心霊スポットが、千葉にもあるのを知っていますか。

宗教や信仰文化において、絶対に足を踏み入れてはならない「禁足地」という所があります。つまり祟(たた)りや心霊現象があるという場所で、全国津々浦々にその「禁足地」はあります。

そんな場所が、人口50万人に迫る東京のベッドタウン・千葉県市川市にもあります。JR、都営新宿線の本八幡駅から徒歩5分。国道14号線をはさんだ市川市役所の向かいにある、鳥居と祠(ほこら)に守られた小さな竹やぶです。市川市教育委員会の建てた解説版には「不知八幡森」と記されている「通称八幡の藪知らず」です。

広辞苑(こうじえん)にも「八幡の藪知らず」の項目があり「ここに入れば再び出ることができないとか、祟りがあるといわれる。転じて、出口のわからないこと、迷うことなどにたとえる」と書かれています。ここは江戸川乱歩の小説『孤島の鬼』や夏目漱石の小説『行人』などさまざまな小説にも、迷い込んで出られなくなることの慣用句と使われている、超有名な心霊スポットです。

この手の場所は苦手なのですが、昼間は新型コロナ感染症拡大下でも割と人通りもある場所ということで、怖い物見たさもあり行ってきました。「市川市公式Webサイト」によると、禁足地になった理由が挙げられています。日本武尊の陣屋説や八幡の地名の由来となった「葛飾八幡宮」に神仏の分霊を他の地から移して祭る、勧請(かんじょう)をした最初の地だったからなどです。また、日本の三大怨霊といわれる平将門が関連しているという話もありますが、実際は定かではありません。

ただ、この場所を有名にしたのは、水戸黄門として有名な水戸藩2代藩主・徳川光圀だったというのです。黄門様はテレビや映画のように諸国は漫遊しなかったようですが、この場所を訪れたようです。先の「市川市公式Webサイト」には、こんな伝承が掲載されています。「八幡の藪知らず」の話を聞いた徳川光圀(水戸黄門)がばかげた話だと藪に入ったところ、白髪の老人が現れ「戒めを破って入るとは何事か、汝は貴人であるから罪は許すが、以後戒めを破ってはならぬ」と告げたといいます。

この話は「黄門記八幡大藪」として歌舞伎の外題となり、明治11年に京都で初演されました。また、「芳年といえば無惨絵」と呼ばれ、血みどろ絵で有名な浮世絵師・月岡(大蘇)芳年が、藪知らずに足を踏み入れた水戸黄門が現れた妖怪と対峙(たいじ)している「不知薮八幡の実怪」という作品も描いています。解説版にもその作品がありました。

なぜ、この禁足地がいつから存在したのか、なぜ禁足地になったのか-明確な根拠はない。だが、いまだに近隣の住人から畏敬の念をもたれているのは確かです。鳥居をくぐり祠までは行けますが、私は足を踏み入れる気は起きませんでした。暑くなってきたおり、みなさんは深夜にでも行ってみたらどうですか。

(デイリースポーツ・今野 良彦)

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