〝絶対王者〟がまさかの敗戦だ。東京五輪の柔道競技7日目(30日、日本武道館)、男子100キロ超級準々決勝が行われ、テディ・リネール(32=フランス)は、タメルラン・バシャエフ(ROC)に延長の末、技ありを奪われた。五輪3連覇の夢は途切れたが、敗者復活戦で銅メダル獲得を目指す。
五輪2連覇、世界選手権8連覇を達成し、昨年2月のグランドスラム・パリ大会で影浦心(日本中央競馬会)に敗れるまで、国際大会で154連勝を記録していたリネール。影浦に敗れた試合は、全日本男子の井上康生監督が「何を意図していたかはまだ分からないが、いつもの絞り切った体ではなかった」と話していたように、あくまで調整の段階。リネール自身も「(五輪に向けて)これを教訓に準備できる」と気を引き締めていた。
実際に、この日も1回戦から2試合連続で一本勝ちを収めていただけに、会場中が騒然となった。
リオ五輪銀メダルで準決勝に駒を進めた原沢久喜(百五銀行)は、かつて「自分の目標でありライバルである選手だが、絶対に倒したいなと思っている相手ですね」と印象を口にしていたが、幸か不幸か、最大のライバルが姿を消した形となった。