韓国で中国人念頭の土地取引制限法案が発議 賛成意見殺到も実際は米国人保有の土地が圧倒判明

中国人を含む外国人の国内不動産取得許可範囲を制限しようという趣旨で、韓国野党・国民の力のテ・ヨンホ国会議員が代表発議した「不動産取引申告法」改正案に、多くの「賛成」意見が書き込まれた。なかには反中感情をまとった発言も散見された。

(画像:韓国の国会立法予告サイトに掲載された発議一覧/当該発議のみ突出したコメントが付いている)

韓国の国会立法予告サイトでは発議された法案ごとに一般ユーザーがコメントを投稿することができる。ほとんどの法案は数件~10数件のコメントに留まるが、テ・ヨンホ議員が28日に発議した「不動産取引申告法」には30日現在16:30現在で2,823件のコメントが付いている。そのほとんどは、同法案を支持する書き込みだ。

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なかには、「激しく嬉しい立法」「外国人の不動産取引を制限して、私たちの主権を確実に確保する必要がある」「大韓人のための大韓として長く保持され、大韓の土地も大韓のもとして保全されることを望む」「民主主義の土地を占拠することを座してみてられない」など国粋的な発言が目立った。

また、一部の市民は、「中国人の不動産人海戦術を防がなければならない」「中国人による韓国領土侵食を防がなければならない」「中国に国を売ってはいけない」「中国が怖くてぶるぶる震えないで中国入国も制限強化しよう」など、反中国感情も散見された。

同改正案は、テ議員など、国民の力所属議員19人が発議したもので、中国など外国人による韓国内の不動産の取得に相互主義を適用しようとする趣旨を盛り込んだ。

背景としては、韓国の不動産取引において中国など外国人の取引量が増えいていることがある。不動産院の統計では昨年2万1048件と集計され、前年比で18.5%(3285件)増え、2006年1月の調査以来最大となった。

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特に中国国籍の外国人の土地取引大きく増えている状況である。国民の力のホン・ソクジュン議員が韓国国土交通省から提出を受けた資料によると、中国国籍者の土地取引は、2011年の3515件・369万5166㎡から、2020年には5万7292件、1999万5837㎡へと急増した。

これら統計を受け、韓国メディアや世論で一気に不安が広がった形だが、実際のところ、韓国の土地を最も多く保有するのは米国人だ。国土交通省の「外国人の土地保有状況」によると、外国人が保有している韓国内の土地面積は昨年基準で全体国土面積の0.25%に過ぎない。国籍別に見ると、米国国籍の外国人が保有している土地の面積(1億3327万㎡)が全体の外国人保有面積の52.6%を占める。実に中国国籍者の6.6倍に及ぶ。

(画像:韓国統計庁の全国外国人土地保有現況の検索結果キャプション)

そのため、韓国メディアのなかには、過度な不安や根拠に欠ける反中感情を戒める論調も出ている。

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