瀬戸大也終戦で次は優佳さんのターン「少しのんびりしたい」 夫に育児1か月リクエスト

レース後、モニターから手を振る妻・優佳さんに笑顔を見せた瀬戸

競泳男子200メートル個人メドレー決勝(30日、東京アクアティクスセンター)、瀬戸大也(27=TEAM DAIYA)は1分56秒22の4位で出場全3種目のレースを終えた。金メダルを期待された400メートル個人メドレーで予選敗退するなど、今大会はまさかの無冠。悔しさと充実感を味わったが、大舞台を目指す道のりは険しいものだった。昨年は自身の女性問題で活動停止処分を受け、妻・優佳さん(26)と夫婦関係にも新たな変化が生じていた――。

3レーンから勢いよく飛び込んだ瀬戸は、前半100メートルを7番手で折り返すと平泳ぎで一気に3番手に浮上。ラスト50メートルの自由形で激しいデッドヒートを繰り広げたが、3位に100分の5秒差で及ばなかった。

「金」候補として臨んだ400メートル個人メドレーは予選、200メートルバタフライは準決勝で姿を消し、今大会はまさかの無冠。それでも、スッキリとした表情で「力は出し切れた」。親友でライバルの萩野公介(ブリヂストン)との〝競演〟には「一緒に泳げる喜びというのが自分の中ではすごくパワーになりましたし、決勝の舞台でグータッチして入っていけたのは自分の競技人生ですごく幸せでした」と振り返った。

悔しさと充実感を味わった自国開催の大舞台。しかし、ここまで平坦な道のりだったわけではない。2019年世界選手権で2冠を達成し、競泳日本チームとして代表内定〝第1号〟となるも昨年9月に自身の不倫行為が発覚。当時、所属していたANAとの契約は解消となり、競泳の代表主将を辞退した。また、年内の活動停止処分を受けたことで今年2月のジャパンオープンで実戦復帰するまでに約5か月を要した。

優佳さんは複雑な胸中だった。「私の中には当然『許せない自分』がいたんですけど、それと同時に『気持ちを理解できる自分』もいたんですね。それで、もう、でもいいやと思って。私にも気づけない部分がたくさんあった。私自身、今まで夫のサポートを中心に考えていましたが、そのベクトルを少し変えることで自分自身と向き合えるようになったり、とらえ方が変わったり、切り替えることができたんだと思います」

こうして〝五輪代表の夫〟を専業主婦としてサポートする生活スタイルは変わった。優佳さんが「夫だけというよりも自分自身のことも大切に考えてみよう、両方『一緒に頑張ろう』というスタンスのほうがうまくいくと思う」と話すように、バランスをとるようになった。

瀬戸の東京五輪は終わった――。優佳さんはかつて取材に胸に秘めたる“お願いごと”を明かしてくれたことがある。

「(五輪後)1か月間、夫に育児のすべてを頼んでみたいですね。私は少しのんびりしたいので(笑い)」

瀬戸のレースを見守った優佳さんは「まずはお疲れ様でしたと言いたい。だけど、あと少しだっただけに、悔しいというところが本音です」とコメント。瀬戸も「自分が失敗したことを学んでこれから競技を続けていく上でも感謝と謙虚な気持ちで、自分の夢に向かってあと3年間ひたむきに努力したいと思います」と話した。

すでに24年パリ五輪に目を向けている。アスリートである以上、今後も結果で周囲の期待に応えていくしかない。

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