元WBCスコアラーが“仮想ミーティング” 侍ジャパン、メキシコ戦の警戒ポイントは?

メキシコ戦に先発する侍ジャパン・森下暢仁【写真:荒川祐史】

2009年世界一、WBC日本代表・三井康浩スコアラーによる徹底解説

■日本 ー メキシコ(31日・グループリーグ・横浜)

東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」は31日にメキシコ代表と対戦する。世界一となった2009年WBC日本代表チーフスコアラーを務めた三井康浩氏は「これだけを頭に入れておけば大丈夫だと思います」と対策案を講じた。一次リーグ1位突破をかけた試合を前に、かつての名スコアラーが選手に伝えるとするならば、警戒するポイントはどこになるだろうか。

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ドミニカ共和国との試合映像を見ました。メキシコ打線はメジャーでも活躍した4番のゴンザレスをはじめ、私には打撃が淡白に感じました。2番のエルサルデなどはいい感じでスイングをしていましたが、全体の印象はまだ本調子じゃないというか、打者はボールを捉えられていない印象です。打ち損じもあり、最初から打ちにいくようなボールでないものを振っていました。一方のドミニカ共和国はセーフティバント、送りバントも使って、走者を進めながらの野球をしています。1-0の僅差は、そういうところで出た差なのかな、と感じました。

数年前までメジャーで活躍していた名前が並ぶように、日本の投手陣が気をつけないといけないのは、相手のパワーです。繊細なコントロールを持つ日本ならばそこまで心配はないですが、初球の入り方には注意です。横の変化、特にスライダーにはついていっている印象がありました。縦の変化球、高低、奥行きをミックスしていけば、打ち取れるのではないかと思います。

それから簡単にファーストストライクを取りにいかないことです。打者は結構、ボール球を振ってくるので、ストライクゾーンで勝負する必要はないかもしれません。振りが大きいので、ミスショットも多い。低めの変化球の見極めができず、バットが止まらなかった。ゴンザレスもそうでしたね。

捕手のリードは投手のいい球を引き出す傾向

ドミニカ共和国の方がコンパクトなスイングで、状況に応じた打撃をしていました。メキシコも初戦を終えたことで、若干の慣れは出てくるとは思いますが、丁寧に投げていけば、安打ゾーンに飛んでいく確率は低いかなと思います。カウントが有利のときは、ボール球の使い方を間違わないこと、初球は目先を変えて入ること、勝負するところは勝負する。鉄則を守っていけば打ち取れる打線だとは思います。

メキシコの投手について。私は捕手を見ていましたが、メキシコの典型的なリードだったと思います。日本の野球だと、持っている球種を全体的に散りばめるなどしますが、メキシコの場合は、得意な球を投げさせるという配球。なので、ドミニカ共和国との試合は、スライダーがほとんどでした。『困ったら、スライダー』みたいな印象も受けました。

日本戦でも良い球、得意球を中心に投げさせる組み立てになると思うので、まずは相手の得意球を待っていけば、攻略の糸口になると思います。メキシコ投手の高めのボールに力負けしてしまうこともありますから、ストレートを狙うなら、ベルト付近から低めの球をコンパクトに狙った方が、安打になる確率も高くなってくると思います。(Full-Count編集部)

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