東京五輪開催期間を狙い撃ち! 菅首相ドキュメンタリー映画公開日に秘策あり

左から内山雄人監督、前川喜平氏、古賀茂明氏、河村光庸プロデューサー

映画「パンケーキを毒見する」が30日、公開された。菅義偉首相を題材にしたブラックユーモアたっぷりのドキュメンタリーだが、この時期に公開した狙いは何か?

作品のタイトルは、菅首相が好物のパンケーキを食べながら番記者と懇親会を行っていたことに由来する。プロデューサーの河村光庸氏は「パンケーキをマスコミに振る舞うあの瞬間に『パンケーキを毒見する』に決まっていた」と、タイトルありきで菅首相の素顔に迫る映画製作に乗り出したという。

河村氏は2019年に公開された、東京新聞の望月衣塑子氏をモデルにした映画「新聞記者」を手掛けた。今作には、安倍前政権を徹底批判した元経産省官僚の古賀茂明氏が企画から参加。菅首相が官房長官だった時代にバトルを繰り広げた元文科省事務次官の前川喜平氏も脇を固めた。

さらに自民党の石破茂元幹事長や村上誠一郎衆院議員らもインタビューで登場し、菅首相の実態に迫っている。

古賀氏は「菅さんは、令和おじさんとかパンケーキとか優しそうなオジサンで、若者人気(がある)と言われたが全然違う。頑固で攻撃的、改革する自分に酔うナルシストのイメージ」と、隠された素顔を描いたという。

映画は東京五輪真っただ中の7月下旬に公開すると決めていたという。その先にあるのは衆院選だ。2年前の「新聞記者」も参院選直前に公開し、口コミでヒットにつながった実績がある。

河村氏は「『新聞記者』を作った時もテレビメディアが一切出さなかった(扱わなかった)。選挙に影響を与えるよう映画をつくりたかった。選挙に近づけば近づくほど、メディアは発言を控え、選挙中は一切、沈黙を守る。マスコミには『私』をもってほしい」とも訴えた。今作もメディアで大々的に報じられることはなさそうだが、支持率が下がる一方の菅首相にとっては、衆院選を前になんとも頭の痛い映画となってきそうだ。

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