【マーティ&島倉りか 昭和ソングって素敵じゃん】17歳でこの表現力! 尾崎豊は特別な才能の持ち主

最後まで盛り上がった島倉(左)とマーティ

世界的に有名なギタリスト、マーティ・フリードマンが、平成生まれのアイドルと昭和の歌を語る連載。昭和歌謡好きで知られるBEYOOOOONDSの島倉りか(20)との対談は今回が最終回。島倉が最後に選んだのは故尾崎豊さんのアルバム「十七歳の地図」。マーティがその才能に改めて驚いた!

【尾崎豊論】

――島倉さん、最後はどなたにしましょう

島倉 尾崎豊さんの「十七歳の地図」(1983年)について話したいです。

マーティ 僕は尾崎さんは「I LOVE YOU」しか知らないです。カバーして、ライブでやりました。

島倉 どうやって知ったんですか?

マーティ 僕は80年代の曲はあまり研究してないんですよ。カバーアルバムを作る時に候補曲に入っていて、この曲と尾崎さんのことを知りました。「I LOVE YOU」という単純な言葉をメロディーにするのはすてきです。言葉ではなく、ギターの表現だけで伝えようと思いました。理想的なカバーになりました。

――発表は83年ですが、シングル発売は91年。CMがきっかけでした。40年近くたつのに、いまだ愛されている曲です。島倉さんがこのアルバムで好きなのは

島倉「OH MY LITTLE GIRL」と「十七歳の地図」です。「OH MY――」は、映画「ホットロード」(2014年)の主題歌でした。

――「OH MY――」は尾崎さんが亡くなった92年より後、94年にドラマ主題歌に使われ、シングル発売されました。聴いてみましょう

マーティ 聴いたことなかったです。メロメロですてきな曲ですね。声もとてもいい。女性が歌っていると思う瞬間があります。優しくて繊細な声です。

島倉 尾崎さんはどんな印象ですか?

マーティ かっこいいです。イケメンなのに全く音痴の部分がない。日本の男性ボーカルは音痴な部分があって、それがカワイイと思われるところがあるじゃないですか。それもいいんですが、尾崎さんはガチですてきな声を持っているし、エモーショナル。感情が伝わってきます。

――この曲をレコーディングしたのは17歳の時。作詞作曲も本人です

マーティ え! 本当ですか!? それはすごいです。

――続いて「十七歳の地図」。イントロがブルース・スプリングスティーンの「明日なき暴走」にそっくりです。聴いてみましょう

マーティ あらあらこれはアレだね~。ちょっと待ってください(スマホ内を探す)。

島倉 え!? どうしたんですか? 私、このイントロ大好きなんです。カッコ良くて。

マーティ ありました。りかちゃんビックリするかも(「明日なき――」を再生)。

島倉 え!? あれ!? 似てる! キーは違うけど…。

マーティ イントロの後も雰囲気はスプリングスティーンだね。でもフィル・スペクターと大滝詠一さんのように、リスペクトして自分なりに解釈したものはいいんですよ。この曲も、尾崎さんがかっこいいと思います。17歳でこの表現力は素晴らしいですよ。

――島倉さん、尾崎さんはどんな人だと思いますか

島倉 曲を聴いて、本当は弱い人だったのかなと感じました。歌に自分のことがすごく出るんです。子供が生まれたら「誕生」、悩んでる時にできたのが「シェリー」。弱いから人の痛みがわかって、繊細な歌詞が書けたんだと思います。それに一曲一曲、気持ちを込めて、命を削りながら歌っていたように思うんです。

――マーティさんはこのアルバムを作ったのが17歳だったと知り、驚いてました

マーティ 作詞、作曲もですよね。考えられない。「I LOVE YOU」なんて、ベテランソングライターが作ったような曲です。特別な才能の持ち主ですよ。歌も魂からのものを伝えることができるじゃん。これ大事なことです。自分の気持ちを作品に込めて伝えられる17歳って、素晴らしい存在ですよ。

☆マーティ・フリードマン 米国・ワシントンDC出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍。04年から拠点を日本に移し幅広いジャンルで活躍している。「紅蓮華」などをカバーしたアルバム「TOKYO JUKEBOX3」が発売中。

☆しまくら・りか 2000年8月20日生まれ。東京都出身。19年にBEYOOOOONDSとしてデビュー。ユニットCHICA#TETSUのメンバー。最新シングルはオリコン初登場1位の「激辛LOVE/Now Now Ningen/こんなハズジャナカッター!」。ハロー!プロジェクト2021春公演は「チーム花」で参加。

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