ソフトバンク・工藤監督「栗原は今、打席がないんで」 侍で気がかりも…対策万全

ソフトバンク・工藤監督

〝シミュレーションの鬼〟は、五輪出場組の状態チェックにも余念がない。前半戦を4位で折り返し、後半戦の巻き返しを期すソフトバンク・工藤公康監督(58)。1日はペイペイドームでの全体練習を熱心に見守り、野手陣の打撃練習などに鋭い視線を送った。

五輪閉幕後の13日から始まる後半戦は残り55試合。修羅場をくくり抜けてきた王者とはいえ、首位オリックスとは4ゲーム差で悠長なことは言っていられない状況だ。不安要素を極力潰し、最良の準備で後半戦の1試合目からスタートを切らなければならない。

柳田、甲斐、栗原、千賀を東京五輪日本代表に供出しているソフトバンク。代表でも主力を張る柳田、甲斐の元気な姿に目を細めながらも、指揮官には気がかりもある。

「栗原に関しては今、打席がないんで」。

もともと捕手が本職だった栗原は、左翼、右翼、一塁、三塁と複数ポジションを担え、その高いユーティリティー性と勝負強い打撃を評価されて今回メンバー入り。ただ、代表は野手13人という少ないメンバー構成もあって、延長戦などを視野に積極的な選手起用が難しい面もあり、ここまで栗原の出場機会はない。

「このまま出ている人が調子がよくて、あまり打席数が増やせないということになれば、帰ってきて(二軍戦なども含めて)試合に出るということも考えないといけないのかなと考えている」

〝シミュレーションの鬼〟らしく、侍ジャパンの今後の戦い、栗原本人の状態を注視しながら想定される様々なシチュエーションを頭に叩き込み、チーム帰還後のベストな始動は何かを突き詰める。内的要因、外的要因を適宜分析し、準備を怠らないのが工藤流だ。

絶対的主砲・柳田の脇を固めるポイントゲッターがいてこそ、逆転優勝は描ける。負傷離脱中のグラシアルの回復が長引いているだけに、勝負強い栗原にかかる期待が高まるのは必然。それだけに、後半戦の頭から状態を上げていってもらいたいというのは首脳陣の総意だ。

絶対的エース・千賀の状態なども考慮して、投手陣のやりくりは、すでに現時点で10パターン以上を用意している工藤監督。備えあれば憂いなし――。勝負のゴングがなる「8・13」に向けて、周囲の不安を打ち消す最良の準備を整える。

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