【クイーンS】切れ味発揮のテルツェットに馬匠渡辺「層が薄そうなエリザベス女王杯はチャンス」

会心の騎乗にガッツポーズのルメール

【渡辺薫&柏木集保「私たちはこう見た」 クイーンS】

渡辺 秋を占う牝馬重賞。まずはどんなペースになるのかと見ていたが、前5ハロン59秒9と思ったより流れたな。

柏木 レース直前の雨で、騎手の考えるレース展開には少なからず影響があったのかもしれませんね。早めに動いて出た馬も多くて、上がりは4ハロン47秒9―36秒0―12秒4とかかりました。

渡辺 直線ではマジックキャッスルが抜け出したかに思えたが、そこを並ぶ間もなく差し切ったのがテルツェット。すごい切れだったな。

柏木 母はリアルスティールやラヴズオンリーユーの半姉。ディープインパクトと非常に相性のいい牝系でしたが、その強みがだんだん前面に出てきましたね。良馬場では後方から33秒台の脚を記録して、エンジン全開になるのが遅いように映ることも多かったですが、今回は展開がピタリとハマりました。

渡辺 鞍上のルメールも見事だった。道中はやや苦しい位置取りにも見えたが、馬群を縫ってロスなく差し切ってしまうんだから。距離については何とも言えないが、エリザベス女王杯は昨年よりも層が薄くなりそうだからな。

柏木 時計のかかる1800メートルをこなしたのは自信になりますよね。これなら2000メートル級でも…とは思います。

渡辺 2着マジックキャッスルは勝ち運がないよなぁ。能力は十分に示したし、負けて強しだったとは思うけど。

柏木 雨の影響か、馬場の影響か、結果的にはいつもよりスパートが早かったかもしれませんね。それでも評価は落ちませんから、牝馬同士の府中牝馬Sなどは面白そうです。

渡辺 3着サトノセシルは前走の2勝クラスも強かったし、よほど洋芝が合うんだろう。

柏木 てっきり逃げるかと思っていたのですが、控えて突っ込んできたのには驚きました。惜しかったです。4着フェアリーポルカはこういう少し時計のかかるコンディションがベスト。早めに動きながらバテませんでしたね。

渡辺 個人的に印象に残ったのは7着のイカット。直線でうまく馬群をさばけなかったが、スムーズだったら…と思わせる手応えだった。2番人気で11着に敗れたドナアトラエンテはどう見た?

柏木 直前の雨を考えたのか思ったよりも積極策に出ましたね。それが結果的に厳しい展開の火付け役となりました。これほど負ける力関係ではないので、秋の東京で見直したいです。

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