田島良昭さん死去 76歳 障害者福祉の先駆者

本紙記者の取材に答える田島氏=6月15日、島原市内の自宅

 「累犯障害者」支援など障害者福祉に先駆的に取り組んだ社会福祉法人南高愛隣会(長崎県諫早市)の元理事長で最高検参与、田島良昭(たしま・よしあき)氏が2日午前8時35分、骨髄がん腫症のため、島原市内の病院で死去した。76歳。南高瑞穂町(現雲仙市)生まれ。自宅は島原市。葬儀・告別式は近親者で執り行い、後日お別れの会を開く。喪主は長男で現理事長の光浩(みつひろ)さん。
 1977年に南高愛隣会を設立し理事長に就任。78年に知的障害者授産施設「雲仙愛隣牧場」、81年には知的障害者更生施設「コロニー雲仙更生寮」を古里瑞穂町にそれぞれ開設し、障害者の就労支援や少人数で生活するグループホームの取り組みをいち早く取り入れ実践した。
 旧知の浅野史郎宮城県知事(当時)に請われ、96年から同県福祉事業団の副理事長、理事長を歴任。2002年には福祉分野での功績が認められ、内閣総理大臣表彰を受けた。それまでの施設中心から、地域で働きながら生活する「脱施設」への転換を目指した。
 06年からは、罪を繰り返す「累犯障害者」支援に注力し、厚生労働科学研究事業で全国に先駆けてモデル事業を実践。09年には全国の社会福祉法人で初となる更生保護施設「雲仙・虹」、福祉サービスにつなぐ「地域生活定着支援センター」を開設。同センターは本県を皮切りに全都道府県に広がった。
 11年には検察改革の一環で最高検参与に就任。12年には村木厚子氏(13~15年に厚生労働事務次官)と「共生社会を創る愛の基金」を設立し、罪に問われた障害者らの社会復帰を支援してきた。13年に南高愛隣会の理事長を退き、顧問に就いた。

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