被爆体験者ら救済を 長崎県と市が厚労省に要望 「黒い雨」訴訟判決確定うけ

 広島原爆の投下直後に降った「黒い雨」を巡る訴訟で、国が上告を断念し原告全員を被爆者と認めた広島高裁判決の確定を受け、長崎県の中村法道知事と田上富久長崎市長は2日、国が定める被爆地域の外で長崎原爆にあった「被爆体験者」らの救済を、厚生労働省にオンライン会議で要望した。
 上告断念に伴う首相談話は、原告と同じような事情にあった人を救済できるよう早急に検討するとしている。要望書では、長崎でも当時、米国の調査で相対的に高い放射線量が認められ、雨や内部被ばくの証言もあり、同様の事情にあるとして被爆者認定するよう求めた。
 また被爆者援護法の指針改定に長崎県と長崎市を加え、広島の援護対象区域拡大を視野に入れた厚労省の検討会では長崎を含めて検証するよう要請した。
 県選出の国会議員らが同席し、冒頭を除き非公開。中村知事によると、厚労省の正林督章健康局長は「大臣に伝えたい」と述べるにとどめた。
 中村知事は「広島県民も長崎県民も等しく援護施策を講じるべきであり、今後も要請活動を継続する」、田上市長は「県と市がそろって要望したことの意義は大きい。よりよい形で成果に結び付けたい」とそれぞれ語った。

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