広島「黒い雨」訴訟 二審も原告勝訴 長崎の被爆体験者ら「大きな一歩」

「黒い雨」訴訟の二審原告勝訴を受けた会見で喜びを語る岩永さん(右)ら=長崎市内

 広島の「黒い雨」控訴審判決を受け、国が定める地域外で長崎原爆に遭ったため被爆者と認められていない「被爆体験者」と弁護団は14日、長崎市内で記者会見し「大きな一歩」と歓迎。被爆者認定を求める長崎の訴訟でも全員救済となるよう期待を寄せた。
 「長く真っ暗なトンネルから光が見えてきた。力強い判決」。被爆体験者訴訟の第1陣原告団長、岩永千代子さん(85)は、こう期待を寄せた。「埋もれて、声も上げられずに亡くなった被爆者たちを歴史から消さないための礎となる」と語った。
 第2陣の原告団長、山内武さん(78)は、多くの被爆体験者が亡くなったとして「被爆してきてから苦しめられてきた。早く解決して、亡くなった人たちに報告したい」と打ち明ける。
 弁護団の三宅敬英弁護士も「全員救済につながる大きな一歩」と歓迎する。広島高裁判決で、被爆者認定について「原爆の放射能による健康被害が否定できないことを立証すれば足りる」とした点を評価。長崎では原爆投下直後、米調査団による放射線量測定のデータがあり、原告には原爆症と同じような健康被害も確認されているとして「広島高裁の理屈からすると、長崎でも原告勝訴となるはずだ」と強調した。
 昨年の広島地裁判決を受け、国に対して長崎の被爆地域拡大を要望している長崎市の田上富久市長は「引き続き重大な関心を持って注視していきたい」とのコメントを出した。
 被爆体験者は、爆心地から半径12キロ以内で原爆に遭いながら、国が定める被爆地域の外にいたため、被爆者と認められていない。長崎市などに被爆者健康手帳の交付などを求めた集団訴訟は第1陣、第2陣ともに2019年までに最高裁で敗訴が確定。その後、第1陣28人、第2陣16人が長崎地裁に再提訴し、係争中。

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