借金2のエンゼルス 若手の積極起用で来季以降を見据えた戦いに

地区最下位を独走するレンジャーズとの4連戦の初戦を落とし、借金2となったエンゼルス。ワイルドカード圏内(現時点のワイルドカード2位はアスレチックス)とは7.5ゲーム差がついており、2014年以来7年ぶりとなるポストシーズン進出は厳しい状況となりつつある。そんななか、エンゼルスは日本時間8月2日にリード・デトマーズ、同3日にはクリス・ロドリゲスとジョー・アデルという有望株を相次いでメジャーに昇格させた。来季以降を見据えた戦いをスタートしたとみられている。

◆投手陣

今季のエンゼルスはディラン・バンディ、アンドリュー・ヒーニー、アレックス・カッブ、大谷翔平、ホゼ・キンターナ、グリフィン・キャニングという6人の先発ローテーションでシーズンをスタートした。しかし、昨季エース格の活躍を見せたバンディは一発病が再発して先発の役割を果たせず、毎年のようにブレイクを期待されているヒーニーも不安定なピッチングを続けるだけ。新戦力のキンターナは期待を大きく裏切り、若手のキャニングも先発ローテーション定着には至らなかった。

そうした状況のなか、エンゼルスはバンディやキンターナを先発ローテーションから外し、24歳のパトリック・サンドバルや23歳のホゼ・スアレスを先発に登用。7月下旬に再昇格した25歳のハイメ・バリアも2試合連続で好投し、来季以降への光明が見え始めてきた。大谷とともに先発の柱となっていたカッブの故障離脱は痛手だが、ヒーニーの放出とカッブの離脱に伴い、2020年ドラフト1巡目指名のデトマーズと今季リリーフで活躍したあとマイナーで先発投手としての調整を行っていたロドリゲスが昇格。27歳の大谷が最年長という非常に若いローテーションが形成された。

リリーフ陣の整備という大きな課題は残ったままだが、複数の若手投手の台頭により、少なくとも先発陣については「外部から中途半端な投手を補強して頭数を揃える」というフェーズは脱出した印象。今季の残り2ヶ月の大半の試合では、これらの若手投手が先発のマウンドに上がることになりそうだ。

◆野手陣

マイク・トラウトを筆頭に、アンソニー・レンドン、アルバート・プーホルス、ジャスティン・アップトンと年俸2000万ドル以上の高額年俸選手を4人も抱えていたエンゼルス打線だが、大谷とジャレッド・ウォルシュの活躍により5月上旬にプーホルスを戦力外とすることを決断。トラウトが5月中旬から長期離脱し、レンドンが3度も故障者リスト入りし、アップトンも好調だった6月下旬から1ヶ月ほど戦列を離れたため、「完全体」の強力打線をほとんど組めないまま8月を迎えることになってしまった。大谷とともに奮闘していたウォルシュが7月下旬に故障者リスト入りしたのも大きな痛手となっている。

ウォルシュやレンドンの穴はフィル・ゴスリンやジャック・メイフィールドといった「拾い物」で埋めているが、なかなかトラウトが戻ってこない外野には後半戦に入って有望株のブランドン・マーシュが昇格。打撃面で苦しんでいるものの、中堅手として連日スタメンに名を連ねている。また、開幕からマイナー暮らしが続いていたアデルもついに昇格。ジョー・マドン監督はアップトンを途中加入のアダム・イートンと併用し、アデルに多くの出場機会を与える方針を明らかにしており、少なくともトラウト復帰までのあいだはマーシュとアデルが外野のレギュラー3枠のうち2枠を占めることになりそうだ。

マドンは「今季を諦めたわけではない」と話しているものの、来季以降を見据えた戦いに突入したことは明白。若手を積極的に起用しながら勝利を目指しつつも、来季以降に向けた戦力の見極めをしっかり行い、オフの補強に向けた準備を進めていくことになる。そのなかで、ファンの関心はチームの勝敗ではなく、若手のプレーや大谷の個人成績に向けられることになるだろう。

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