【侍ジャパン】鷹・甲斐が “城島ばり” 大活躍 実は本人から聞き出していた「国際試合の心得」

米国戦でサヨナラ打を放ったソフトバンク・甲斐(右)

あと2勝で金メダルに手が届く東京五輪の野球日本代表・侍ジャパン。好守で大活躍しているのが甲斐拓也捕手(28=ソフトバンク)だ。

ここまで3試合のうち2試合でフルマスク。打っても打率5割(8打数4安打)で全試合で打点をマークしている。2日の米国戦(横浜)は途中出場だったが、タイブレークのしびれる場面で栗林(広島)を好リードして無失点に抑えると、その裏に劇的サヨナラ打を放った。

その頼もしすぎる姿にSNS上では「城島が甲斐に乗り移ってる」「城島に見えた」などの盛り上がりも。かつて日本代表の大黒柱として活躍した扇の要・城島健司氏(現ソフトバンク球団会長付特別アドバイザー)を思い浮かべた〝声〟も出たほどだった。

甲斐に映る城島氏の面影。それはある意味、正しい。独特の緊張感が漂う今回の五輪に向けて〝城島ブレーン〟を引き継いで臨んでいるからだ。

城島氏は4番・捕手として臨んだ2004年アテネ五輪で銅メダル、09年のWBCで世界一に輝いた経験者。前半戦最後の本拠地6連戦を前に「明日(球場に)行くわ。ちょっと話をしよう」と連絡が来ると、マンツーマンで1時間近く国際試合の〝心得〟を聞いた。

城島氏の〝伝える力〟は折り紙付き。甲斐にとって本番に向けた心の準備をする上で貴重すぎる時間だった。「本当にありがたかったし、経験されてきたものを聞けて良かった」。国民の期待や周囲の思いを背負って戦う五輪の舞台。どれほど緊張するのか。どう臨んでいくべきなのか。

リード面に関しては集められた情報やデータの重要性とともに「五輪はキャッチャーと話をすることが大事だ」と、もう一人の捕手・梅野(阪神)と密に連携することをアドバイスされた。「どっちが試合に出ていても、横から見ていてどう感じたのかについて聞くこともやっていった方がいいと話してもらいました」。

米国戦の決勝打について、工藤監督は「相手が内野5人になった瞬間に低め変化球と読んで、それを逆方向に持っていく。よし、これだ! と思ったんじゃないか。強引になったら内野ゴロにしかならないですからね」とも推察して褒めたたえた。かつてのレジェンド正捕手の言葉を胸に大舞台で堂々の活躍を見せている甲斐。残り2試合も打って守って侍ジャパンを悲願の金メダルに導く。

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