横浜市立中の歴史教科書 市教委、「つくる会」系不採択 現行の帝国書院版選ぶ

帝国書院版の継続使用を決めた横浜市教育委員会定例会=4日、横浜市役所

 横浜市教育委員会は4日、定例会を開き、市立中学校など148校で2022年度から3年間使用する歴史教科書について、現在使用している帝国書院版を再び採択した。「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ自由社版は不採択となった。

 採択は昨年夏にも行われたが、自由社版が文部科学省の検定に合格したことを受け、市教委が再採択の実施を決定。市教委は、戦後の歴史教育を「自虐史観」と批判する「つくる会」系の教科書(自由社版、育鵬社版)を長年採択し続けてきた経緯があり、結果が注目されていた。

 定例会では、帝国書院版の継続使用が望ましいとする「市教科書取扱審議会」の答申が示され、鯉渕信也教育長と教育委員5人が全会一致で同社版を採択。委員らは「社会参加意識を高める工夫がある」などと同社版を評価した一方、自由社版については「2次元コードの記載がなく、ICT(情報通信技術)を活用した教育の流れに乗っていない」などと指摘した。

 定員20人の傍聴人の事前抽選には173人が応募。市教委は会議の様子をインターネットでも中継した。

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