新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、松田町は4日、保存温度を超えて常温となったワクチンを120人に接種していたと発表した。健康被害の報告はないという。町は対象者に謝罪するとともに、今後抗体検査を行い、再度の接種が必要かどうか判断する。
町によると、ワクチンは寄(やどりき)診療所の冷蔵庫で保管されていた。7月13日に豪雨による停電が発生。非常用電源に切り替えたが、診療所の職員が復旧後も通常電源に戻すのを怠った。冷蔵庫は30時間以上、冷却できない状態だったとみられる。ワクチンは2~8度で保管することになっているが、冷蔵庫内は20度になっていた。
職員が同15日に異変に気づき、診療所の男性医師(64)に報告。医師は保存温度を超過したワクチンだと認識した上で接種の判断をしたといい、15~20日に120人に接種された。今月2日に医師が町に報告し、発覚した。
4日に記者会見した本山博幸町長は「安全・安心なはずの診療所でこのような事態が起き、大変遺憾」と陳謝。接種に至った経緯に関し、医師に説明を求めているが応じてもらえていないという。
町は今回の事態を受けて診療所を当面閉鎖する。5日以降のワクチン接種は他の医療機関で対応する。