【侍ジャパン】悲願の金メダルへ「一撃必殺」投手総動員リレーの青写真 先発は森下か田中将か

悲願の金メダルへあと1。侍ジャパンは総動員リレーでつかみ取る!

悲願の金メダルへ、侍ジャパンが無敗のまま決勝進出を決めた。決勝の対戦相手は5日の米国―韓国戦の勝者となるが、ここで気になるのが先発を含めた投手の起用法だ。予定では7月31日のメキシコ戦に先発した森下(広島)が有力視されるが、頂点をかけた大一番だけに特定の投手にすべてを託すことはない。稲葉篤紀監督(49)は中4日の田中将(楽天)や、中2日の山本(オリックス)ら、投手を総動員する青写真を描いている。

「選手は本当にこの試合の重要性というのは十分わかってくれていたので。粘り強くよく勝ってくれたと思います」

韓国戦に勝利した直後、稲葉監督は胸をなでおろしながら選手をこうたたえた。長年にわたり国際大会で死闘を繰り広げてきた宿命のライバル。その相手に終盤まで苦しみながらも、最後は振り切り銀メダル以上を確定させた。

そんな日本が挑む7日の決勝戦。相手は韓国、米国のいずれかだが、侍投手陣がいかに最少失点で抑えることができるかが勝敗のカギとなる。では、決勝戦の投手起用について、日本はどのような戦略を描いているのか。

登板順通りなら、先発は7月31日のメキシコ戦で5回5安打2失点の森下となるが、この試合は金メダルがかかる大事な一戦。想像を超える緊張と重圧がかかるであろうため、プロ2年目右腕に日本の命運を託すのは酷かもしれない。

そこで稲葉監督ら侍首脳陣の間で検討されているのが「一撃必殺」の投手総動員リレーだ。

先発は森下、または2日の米国戦から中4日での登板になる田中将。ただ、むやみに引っ張ることはなく、あくまで投球回は1回か長くても2回。その後も小刻みな継投で相手打線を翻弄しながら全投手を起用する構えで勝利を手繰り寄せる可能性が高いという。

なぜここにきて「投手総動員」なのか。

日本代表は今大会参加国で最少の計5試合で決勝にコマを進めた。他国に比べ起用できる投手人数が多いということもあるが、理由はそれだけではない。2017年から侍ジャパンを率いる稲葉監督の信念もある。

周知の通り今大会の日本代表はキャプテン制を採用していない。誰か一人がチームを牽引するのではなく、主役はあくまで選手全員。この精神のもとでチームを作り上げてきた。ならば最終目標となる東京五輪での金メダルも全員で勝ち取らなければ意味がない。稲葉監督にはこの思いが強いため、可能な限り投手を起用していきたい気持ちが強い。そのうえで選手に「リベンジの機会」を与えたいという親心も忘れてはいない。

今大会の投手陣の中には期待されながらも思うような結果が出せなかった投手がいる。2日の米国戦に先発した田中将や中継ぎの青柳(阪神)。選手が五輪で味わった悔しさはやはり五輪の舞台で晴らしたい。稲葉監督も自身が出場し、メダルを逃した08年北京五輪でその思いを痛感した。だからこそ最後の大舞台には可能な限りその機会を作る。小刻みな継投はその理想型なのだろう。

森下、田中将に加え、2日の米国戦で2回無失点と復活を遂げた千賀(ソフトバンク)。さらにはここまでチームの柱として日本を支えた山本に救援の平良(西武)、栗林(広島)…。おのおのの思いがあれば悲願の金メダルは着実に近づく。

「あと1勝? これまでどおり全員で戦います」と次戦に向けての意欲を語った稲葉監督。侍戦士総動員で悲願の集大成を飾る。

© 株式会社東京スポーツ新聞社