「抑えたら美味しい」韓国の抗議に動じず“追いロジン” 侍J伊藤大海の好救援

7回から2イニングを投げ無失点に抑えた侍ジャパン・伊藤大海【写真:Getty Images】

伊藤が投げるたびに舞うロジンの粉をパク・へミンが嫌う

4日に行われた東京五輪の野球競技・準決勝で韓国代表に5-2で勝ち、決勝進出と銀メダル以上を決めた野球日本代表「侍ジャパン」。激闘の日韓戦を制した立役者の1人が、7回からマウンドに上がり、勝利投手になった伊藤大海投手(日本ハム)だろう。

同点に追いつかれ、嫌なムードが漂っていた終盤。韓国に傾きかかっていた流れを止めたのは日本ハムのドラフト1位ルーキーだった。7回にマウンドに上がると、四球で走者を出しながらも2つの三振を奪って無失点。さらに、8回も続投。2死から二塁打を浴びたものの、代打のチェ・ジュファンを二ゴロに打ち取って窮地を脱した。

2イニングを無失点に封じた投球内容もさることながら、伊藤がマウンド上で見せた“強心臓っぷり”も目を引いた。7回2死走者なしで迎えたパク・ヘミンの打席だった。伊藤が投げるたびに舞い上がる滑り止めのロジンの粉をパク・へミンが嫌い、審判に“抗議”した。

球審はこの“抗議”を受け入れることはなかったものの、動揺してもおかしくなかった。だが、伊藤は全く意に介さず。すぐにロジンを手に取ると、これまでと変わることなく粉を舞い上がらせながら、ボールを投げ続けて、2イニングを抑えた。

決勝の舞台でも登板に意欲「投げたくてウズウズしている」

ただでさえ、プレッシャーのかかる五輪の舞台。最終回を抑えた栗林良吏投手(広島)も同様だが、プロ1年目のルーキーたちにかかる重圧は計り知れない。だが、伊藤は試合後のテレビインタビューで「抑えたら美味しいかな、と思って思い切ってやるだけかなと多います。腹を括って行くしかない、自分らしく行こうかなと思っています」と飄々と振り返っていた。なんとも頼もしい限りだ。

驚きもあった伊藤の2イニングリリーフ。試合後のテレビインタビューで稲葉篤紀監督は「由伸で行けるところまで行って、あそこで左から始まれば大野で、右からなら伊藤で、と考えていた、右から始まったので伊藤で継投した」と、この継投策について意図を説明。伊藤の投げっぷり、延長タイブレークも想定した上での継投だったようだ。

決勝は中1日空けて7日の19時から行われる。泣いても笑っても、あと1試合。「投げたくてウズウズしているというか、普段先発なので、短いイニングになると思いますけど、だからこそ思い切って行こうかなと思います」と伊藤。金メダルがかかる決勝でも、出番を心待ちにしている。(Full-Count編集部)

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