「携われて良かった」 東京五輪 長崎関係の競技役員、審判らの思い

東京五輪のクライミングで審判を務めている尾形さん=東京・青海アーバンスポーツパーク

 自国開催の五輪は、全国各地から集まった競技関係者が裏方として大会を支えている。長崎県からも多数参加しており、このうち、今大会から初採用されたスポーツクライミング会場では、諫早市のソニーセミコンダクタマニュファクチャリングに勤務する尾形保充さんがボルダリングの審判を務めている。
 五輪の経験を後世に残そうという「レガシー枠」で、2018年に東京大会審判に内定。19年世界選手権なども経験して今大会を迎えた。「まさか五輪競技になるとは思わなかった。世界レベルの技術を持ち帰って、地元に伝えていきたい」と意気込んでいる。
 陸上には長崎陸協の3人が世界陸連の研修を経て参加している。「いい経験」と汗を流している堀内伸郎さん(小浜高教)と中村拓道さん(島原翔南高教)は、東京・国立競技場で競技進行や入賞者の管理などを。日高節生さん(佐世保工高教)は札幌市で競歩の審判員を務める。
 柔道は長崎日大高出身で全柔連の寺下浩陽さんが競技運営を統括。男子81キロ級を制した永瀬貴規選手(旭化成)は高校の2学年後輩で「彼の活躍を刺激に、誇りを持って仕事ができた。多くの方のおかげでこの機会が得られて光栄」と感謝していた。
 フェンシングは笹田健一さん(諫早高定教)がサーブル個人の審判を務めた。日本の男子エペ団体初優勝の瞬間も見届けて「外国人コーチの涙が印象的。レベルが低いときから教えていた。チームとして取った金メダル」と感動していた。
 セーリングは選手として出場を目指していた長崎工高出身の原田小夜子さん(鹿児島県スポ協)が救助部門を担当。「やはり五輪は特別な空気があって魅力的だと肌で感じた。携われて本当に良かった」。今後も競技を続ける自らの糧にしていた。
 原田さんと同じ長崎工高OGで、明大ヨット部の川口莉子さんと今村紗栄さんらのように、大学生も各競技の補助員として参加。それぞれが自国開催だからこその収穫を得た様子だった。

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