侍J“金メダル”へのポイントは千賀の起用法? 専門家が解説「米国の打者には…」

侍ジャパン・千賀滉大【写真:Getty Images】

米国先発の鷹マルティネスは今季7勝、防御率2.03の難敵

東京五輪の野球日本代表「侍ジャパン」が金メダル獲得をかけて、7日の決勝・米国戦(午後7時開始・横浜スタジアム)に臨む。先発は日本が森下暢仁投手(広島)、米国はソフトバンクに在籍するニック・マルティネス投手だ。現役時代にヤクルトなどで名外野手として鳴らした野球評論家・飯田哲也氏が、勝利への戦略を探った。

米国先発のマルティネスは、今季7勝2敗、防御率2.03。最速156キロの速球を誇り、チェンジアップ、カットボールなど変化球も豊富だ。成績が示す通り、侍ジャパンにとって簡単な相手ではない。それでも飯田氏は「球筋、決め球はわかっているし、細かいデータもある。比較的対応しやすいと思います。未知の投手と対戦するよりは、気楽に臨めるでしょう」と前向きに受け止める。

「国際試合の、しかも決勝となれば重い展開になるでしょうから、侍ジャパンも場合によってはクリーンアップにも送りバントさせるような、高校野球ではないですけれど、なりふり構わない戦術を取ることになると思います」と予測。侍ジャパンの野手陣には「ファーストストライクからどんどん打っていく姿勢で臨んでほしいです」と求めた。

実際、侍ジャパンは今大会4試合で5犠打を決め、無傷のまま白星を重ねてきた。また、7月28日・ドミニカ共和国戦で坂本勇人内野手(巨人)が放ったサヨナラ打、今月2日・米国戦での甲斐拓也捕手(ソフトバンク)のサヨナラ打、4日・韓国戦での山田哲人内野手(ヤクルト)の決勝3点二塁打は、いずれも初球をとらえたもの。積極的な“早打ち”が功を奏している事実がある。

泣いても笑っても今大会最後の試合だけに、投手陣は総動員態勢で、早めの継投となる可能性が高い。中でも飯田氏は「米国の打者にはフォークが有効です。今月2日の対戦でも好投(2回1安打5奪三振無失点)した千賀(滉大投手・ソフトバンク)の存在は心強いですよ」と指摘する。“おばけフォーク”の使い手の起用法が、勝敗を分けるポイントになるかもしれない。

米国打線でマークすべき打者はと言えば、「やはりタイラー・オースティン(外野手・DeNA)です。来日2年目で日本の投手をよく知っていて結果も残している。準決勝の韓国戦でも、第1、第2打席は連続空振り三振でしたが、第3打席はヒット、第4打席は2点適時打で勝利の立役者の1人になったのですから、さすがです」と飯田氏。「彼の前に走者を出さないことが肝要。特に四球やエラーは禁物です」と強調した。

侍ジャパンは野球が正式競技に採用された大会で初めての金メダルを目指すが、米国も2000年のシドニー以来頂点からは遠ざかっている。念願を果たすのはどちらか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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