東京五輪の男子フリー65キロ級決勝で、乙黒拓斗(22=自衛隊)はアリエフ(アゼルバイジャン)を5―4で下し、優勝。レスリングの日本男子としては、2012年ロンドン五輪の米満達弘以来の金メダルを獲得した。
このままでは負けというラスト15秒、渾身の攻めで2ポイントをゲット。相手のチャレンジ失敗で1点を追加し、最後は猛追をかわした。悲願の金メダルにマット上で涙を流した乙黒拓は「ほんと、苦しいことが多くて。夢をかなえられてうれしい。大会最終日ですごいプレシャーがあった。他の競技で金メダルが出て、フリーは取れていなくて。でも、みんなが一致団結して頑張らせようとしてくれた」と涙ながらに語った。
18年世界選手権で、日本史上最年少の19歳10か月で優勝した天才。しかし「レスリングに関するすべてが完璧。競技のことしか考えていない。自分に厳しく、常に練習している。天才なのに努力もできる」と母校・山梨学院大監督の小幡邦彦氏は絶賛する。練習中は休むことなく常に足を動かし、暇さえあればトレーニング室にこもってフィジカル強化。努力する天才の強さを見せつけた金メダルとなった。