SBK第6戦チェコ:ラズガットリオグルが2レースで勝利。選手権首位レイとのポイント差を3点に縮める

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第6戦チェコラウンドがオートドローム・モストで行われ、レース1とスーパーポール・レースではトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BRIXXワールドSBK)が、レース2ではスコット・レディング(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が優勝。レイは未勝利に終わった。
 
 野左根航汰(GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)はレース1、レース2で14位フィニッシュし、ポイントを獲得している。
 
 2021年シーズンのカレンダーに加わったオートドローム・モストは、SBK初開催。コーナー数21の、直線が少ないサーキットである。土曜日に行われたスーパーポールではジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が1番手、ラズガットリオグルが2番手、スコット・レディング(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が3番手で、フロントロウを獲得。野左根は6列目18番グリッドに並んだ。
 
 スーパーポールに続いて行われたレース1は気温27度、路面温度39度のドライコンディション。オートドローム・モストでのSBK初レースが始まった。スタートから飛び出したのはラズガットリオグルで、1コーナーに入るまでにポールポジションスタートのレイの前に出る。トップのラズガットリオグルを追うのは2番手のレイ、3番手のレディング、少し離れてマイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)、トム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)、アンドレア・ロカテッリ(パタ・ヤマハwith BRIXXワールドSBK)だ。
 
 2周目、野左根が2コーナーで転倒。野左根は再びレースに加わっている。一方のトップ争いは、2周目にレディングがレイをオーバーテイク。レディングはさらに2周目の1コーナーのブレーキングでラズガットリオグルを交わす、トップに浮上する。
 
 3番手に後退していたレイは、3周目の10コーナーでラズガットリオグルをパス。ファステストラップを叩き出しながら逃げるレディングを追いかける。3番手のラズガットリオグルはトップのレディングから約1秒ほど離れたところで3番手をキープする。
 
 一時、レディングに迫っていた2番手のレイ。しかし、次第にその差は開いていき、レディングをとらえるどころか3番手のラズガットリオグルとの差が詰まっていく。7周目、レイは13コーナーでラインを外し、はらんでしまう。レイのすぐ後方にいたラズガットリオグルはこの機を逃さず、レイをオーバーテイク。しかしレイは20コーナーで再びラズガットリオグルを交わし、さらにその翌周の1コーナーでラズガットリオグルがレイをパスした。チャンピオンシップのランキングトップにつけるレイと2番手のラズガットリオグルが激しい2番手争いを繰り広げる間に、トップのレディングは2番手以下に対し約1.8秒のギャップを築いていた。
 
 2番手のラズガットリオグルと3番手のレイは僅差のままレース中盤に入る。さらに二人はトップのレディングとの差を詰めており、13周目には1秒を切るまでになった。しかし14周目、1コーナーでレイがまさかのクラッシュを喫する。レイはメインストレートからのブレーキングでフロントのグリップを失い、スリップダウンを喫してアウト側のグラベルに突っ込んだ。レイはすぐさまバイクを起こし、戦線に復帰するも11番手にまでポジションを落とす。
 
 単独2番手となったラズガットリオグルは引き続きトップのレディングを追い、終盤の15周目にしてファステストラップを叩き出した。レディングとの差は約0.5秒。トップのレディングはラズガットリオグルに追い詰められていく。
 
 残り4周、レイが20コーナーで再びクラッシュ。2度目のクラッシュは激しいもので、チャンピオンシップリーダーはここでレースを終えることになった。
 
 一方、ラズガットリオグルがレディングに追いつき、トップ争いは終盤に入って激しく争われる。残り4周、高速コーナーの14コーナーでラズガットリオグルが前に出るも、そのあとのメインストレートではドゥカティの加速によってレディングが前に出る。トップはレディング、2番手はラズガットリオグルで最終ラップに入った。
 
 最終ラップ、ラズガットリオグルは15コーナーでレディングにオーバーテイクを仕掛けるも、クロスラインでレディングがトップを奪い返す。しかしラズガットリオグルはレディングから離されることなく再び差を詰め、20コーナーのブレーキングでレディングのインに入る。対するレディングはハードブレーキングでバイクの挙動を乱し、ラズガットリオグルはトップを奪取すると、レディングに先行して最終コーナーを立ち上がった。スリップに入って追いかけるレディング。しかしラズガットリオグルには届かなかった。
 
 ラズガットリオグルは劇的な優勝を飾り、今季2度目の勝利となった。レディングは0.04秒差で2位。3位はロカテッリが入った。野左根は序盤に転倒してからレースを続け、14位でフィニッシュしている。
 
 このレースでは転倒が多発し、全23人中10人がクラッシュを喫し、マシントラブルを含めて9人がリタイアした。
 

■レース2:レディングが独走優勝

 日曜日に行われたスーパーポール・レースはラズガットリオグルが優勝。2位はレディング、3位はレイで、この3人がレース2のフロントロウに並んだ。野左根は15位でフィニッシュしている。
 
 レース2は気温24度、路面温度37度のドライコンディション。ホールショットを奪ったのはラズガットリオグルで、2番手にはチームメイトのロカテッリがつける。1コーナーでは後方で二人のライダーが絡むクラッシュが発生したが、レースはそのまま続行された。
 
 トップのラズガットリオグルに続くのは2番手のロカテッリ、3番手のレディング、4番手のレイ、5番手のロウズである。3周目、20コーナーでレディングがロカテッリを交わして2番手に浮上。さらにレディングは5周目の1コーナーでラズガットリオグルをオーバーテイクして、トップに立った。
 
 レースが中盤に入ると、3番手争いが激化する。3番手のロカテッリと4番手のレイの差はわずかとなり、9周目の20コーナーでレイがロカテッリをパス。インサイドにラインを取り、3番手をキープしてメインストレートを立ち上がった。
 
 トップのレディングはファステストラップを叩き出しながら周回を重ねていた。2番手のラズガットリオグルに対し1秒ほどの差を築いており、ラズガットリオグルと3番手に浮上したレイとの差も大きく開いている状況である。
 
 レディングは独走体勢をキープし、レース2で優勝を飾った。レディングにとって今季2勝目となった。2位はラズガットリオグル。3位はレイだった。レイはチェコラウンドではレース1の転倒リタイア、さらに未勝利に終わり、チャンピオンシップのランキングトップを維持しているものの、ランキング2番手のラズガットリオグルにポイント差を縮められ、その差3ポイントとなった。
 
 野左根は14位でフィニッシュ。レース1、レース2でポイントを獲得している。
 
 また、レース2の表彰式では、優勝したレディングがポディウム上でプロポーズ。パートナーの左手薬指に指輪をはめて、生涯を共にすることを誓い合う一幕があった。
 
 スーパースポーツ世界選手権300(WSS300)に参戦する岡谷雄太(MTMカワサキ)は、レース1で11位、レース2では、トップ集団のなかで6番手を走行中の最終ラップに1コーナーのブレーキングで挙動を乱したバイクに接触され、転倒リタイアだった。

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