東京五輪「公式記録映画」は来春公開 河瀬直美監督は数々の “不祥事” どこまで切り込むのか

世界的に評価の高い河瀬直美監督

トラブル続きだった東京五輪をどう描くか――。河瀬直美氏(52)が監督を務めるドキュメンタリー映画「公式記録映画」(来春公開)に注目が集まっている。

「河瀬監督は、2018年に大会組織委員会からの要請で公式映画の監督に就任。1964年の東京五輪では市川崑監督、72年札幌五輪では篠田正浩監督、98年の長野五輪ではバド・グリーンスパン監督が務めた。ただ今回は、これまでよりも内容が気になるけど」と言うのは映画関係者だ。

何といってもパンデミック下で行われた大会だけに、異例の五輪映画になるのは確実。河瀨監督は実際に、コロナの医療現場を精力的に取材したという。だが今回、問われるのは、コロナだけではない。

「〝呪われた五輪〟をどう描くか。エンブレムの盗作疑惑に新国立競技場白紙撤回、さらにはJOC会長の招致不正疑惑もあった。今年に入ってからは、怒とうの不祥事続き。森喜朗前会長の女性蔑視発言、開会式に携わる佐々木宏氏のタレント豚アイデア、小山田圭吾のいじめ自慢、小林賢太郎氏のホロコースト…。ここに斬りこまなければ、作品としての価値が損なわれるから」(同)

今回の五輪で浮き彫りになったのは、大会コンセプトである「多様性と調和」とは真逆の〝古い体質のニッポン〟そのものだった。そこに目を向けないで、未来へのレガシーにはなりえない。

「もし、それらに触れない、あるいは上っ面だけをなぞるものになったら、世間からの批判は避けられない。ただ映画の著作権はIOCに帰属となり、オリンピックミュージアムに収蔵される。IOCはそれを良しとするかどうか。また不祥事ばかりに触れられると、組織委も眉をひそめるでしょうしね」(テレビ関係者)

海外の映画祭でも高い評価を得ている河瀬監督が、どこまで斬り込んで描くのか注目だ。

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