韓国経済紙「ハイテク素材の日本依存は下がってない」「文大統領は成果強調するがリストが非公開」

韓国の経済紙が、ハイテク素材の対日依存が依然として下がっていないと分析している。

韓国メディア・グローバルエコノミックは9日、「日本《韓国の主要な製品輸出、対日依存度相変わらず》」というタイトルのもと、韓国政府や貿易団体の主張するハイテク製品の対日依存の低下には、事実ではない部分があると分析した。

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2019年7月、日本政府は韓国への輸出規制(輸出管理強化)措置を発表し、フッ化水素・EUV用フォトレジスト・フッ化ポリイミドなど半導体等製造用3素材について、対韓国への輸出を包括輸出許可から個別許可に変えた。これに対し、韓国側は反発し、政府は対日依存からの脱却のため、国産化政策や、日本や他国素材メーカーの対韓投資を奨励する措置を打ち出している。

ムン・ジェイン(文在寅)大統領は去る7月2日、日本の輸出規制から2周年となる関連行事において、先端技術素材の自給自足を強調した。ムン大統領は8分間の演説で、韓国がフッ化水素とEUVフォトレジスト、フッ素ポリイミドなどの3つの高度な半導体素材において日本への依存度が低くなったことを強調した。

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韓国貿易協会によると、韓国の日本からのフッ化水素輸入は2018年6685万ドルだったが、2019年7月には急激に減少し、2020年には937万ドルにまで落ちた。サムスンが株式相当数を保有するソルブレインや、SKグループ系のSKマテリアルズなどの国産化製品に置き換えられているとの報道が度々報じられてきた。

同紙は、「ムン大統領が言ったように、韓国のフッ素に対する日本への依存度は減少した」としつつ、ベルギーからの輸入が2019年7月以降10倍以上に増加したことを取り上げ、「フォトレジストは日本の材料メーカーJSRが輸入して、ベルギーが製造し、韓国に輸出することで、事実上、日本と繋がっている」と指摘し。「日本製品はまだ全体の輸入の80%以上を占めている」と伝えた。

また、フッ化ポリイミドに関しても、「韓国政府は、日本製品の代替として《超薄型ガラス》を採択し、日本の輸入を事実上ゼロに減らしたと言っている」が、「しかし、まだ多くのスマートフォンは、まだフッ素ポリイミドを使用している」と指摘。日本でフッ素ポリアミドの輸入は、今年の最初の6ヶ月の間に、前年比15%増の4430万ドルで、日本製品のシェアは変動がなかったと伝えた。

また、ムン大統領が過去2年間に100のコア品目において韓国の依存度が31.4%から24.9%に低下したと強調したが、10個の製品が何なのか明らかにせず、同リストを「国家機密」とし非公開にしていることにも同紙は疑問を呈している。

グローバルエコノミック紙は、「韓国の最大の貿易赤字は日本だ。さらに、石油輸入国であるサウジアラビアを凌駕するレベルである」とし、「日本に対する貿易赤字は、2020年には9%増の209億ドル、チップ製造機器の輸入増加で、今年の最初6ヶ月間31%増加した」と指摘。

その上で「韓国の日本製品への依存度は大きく変わらなかったことを示している」とし、日本政府と日本の代表的チップ材料メーカーの役員は、2年前の日本の輸出規制が実際にもたらされた結果については全く心配をせずにいると伝えた。

同紙は、来年3月に韓国の大統領選挙が、両国の半導体サプライチェーンの大きなターニングポイントになると分析している。

韓国の国産化政策に関しては、他紙が「9千億ウォンをかけて1千億ウォンの効果しかない」との批判も行っており、政府が言うほど効果は出ていないとの見方がある一方、韓国のエレクトロニクス業界などによると、政府や大企業からの予算が付きやすくなったことから、技術を持つ中小素材企業が意欲的に取り組んでいるとの情報も伝えられる。また、日本企業を含む海外素材企業による韓国進出や生産力拡大も(韓国政府支援のもと)はかられている。

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