「ふくさ」とは?袱紗の包み方マナーや忘れた時の代用品などやさしく解説

ふくさとは?

ふくさとは、お祝い事の際に使う祝儀袋や、お葬式などのお悔やみの際に使う不祝儀袋のような金封を包む布のことをいいます。

ふくさは、日本の礼儀や礼節を大切にする文化からうまれ、金封の汚れやシワが付くのを防ぐとともに、喜びや悲しみの気持ちを共有するといった気遣いを示す意味でも使われています。大人のたしなみとして、また、冠婚葬祭のマナーを守るためにもひとつは用意しておきたいですね。

ふくさの形と種類

ふくさは、大きく分けて包むタイプと挟むタイプがあります。包むタイプのふくさは、風呂敷タイプや爪付きタイプ、台付きタイプなどがあり、挟むタイプはポケットのような形状をしています。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

包むタイプ

包むタイプは風呂敷をそのまま小さくしたような正方形をしています。種類によって爪が付いていたり、台が付いていたりします。

●風呂敷タイプ
ごく一般的なふくさで、爪や台が付いてないシンプルな布です。ちりめん素材や絹でできているものが多く、金封をお渡しした後は小さくたためるので、小さなバッグやポケットに収納でき便利です。

●爪付きタイプ
爪付きタイプは、金封を包んだ後、ふくさがバッグの中で開かないよう、ふくさの端に爪が付いています。持ち歩く際にも開きにくいので安心ですね。

●台付きタイプ
台付きタイプは、ふくさに金封を置く台が付いています。金封を乗せて固定できるよう、台の四隅にゴムが付いているので、金封がバッグの中でシワになるのを防ぐことができます。台の色は慶弔どちらにも使えるよう、表と裏で色が異なるリバーシブルタイプが多いです。

挟むタイプ

挟むタイプは金封袱紗とも呼ばれていて、片開きの封筒のような形をしています。中にサッと金封を入れるだけの手軽さなので、老若男女問わず人気があります。ネットショップでもこのタイプのふくさがよく販売されていますよ。

ふくさの色・柄の選び方

ふくさはお祝いごと、お悔やみごとのように、用途によってふさわしい色・柄を選ぶ必要があります。1つずつ見ていきましょう。

お祝いごとには暖色系

結婚式などのお祝いごとには、喜びの気持ちを表す明るい暖色系のふくさを使うのがマナーです。赤やオレンジ、ピンク、黄色、ベージュなどが一般的です。なかには花柄のふくさや、花の刺しゅうがしてあるものもあります。

お悔やみごとには寒色系

お葬式などのお悔やみごとには、悲しみの気持ちを表す寒色系のふくさを用いるのがマナーです。黒や紫、グレー、茶色、緑が一般的です。

紫はどちらも使えて便利

紫のふくさは、慶弔どちらにも使えます。ただし、薄紫は暖色系になるため、お祝い用となります。そのため慶弔どちらにも使うなら、濃い紫のふくさを1枚持っていると便利です。

また、なかには鶴や亀、花の刺しゅうがしてあるものがありますが、鶴や亀は慶事で使用されるため、刺しゅうのない無地のふくさを用意しておくと無難です。

ふくさの包み方と渡し方

ふくさから金封を取り出して、品良くサッとお渡しできるとスマートですよね。せっかくふくさを用意したのに、使い方がわからず受付で慌ててしまった……ということがないよう、ここからはふくさの包み方と渡し方についてご紹介します。

ふくさの包み方

ふくさで金封を包むときのポイントは、「慶事はふくさを右に開く」「弔事はふくさを左に開く」よう包むと覚えておくと便利です。

【挟むタイプの金封袱紗の場合】
慶事は右開きになるように持ち、金封の表書きが自分で読める方に向けて祝儀袋を差し込みます。
弔事の場合は慶事の逆(左開き)になります。

【包むタイプのふくさの場合】
慶事で使う際は、ふくさをひし形になるように置き、ふくさの中央から左に寄せて金封をふくさの上に置きます。
ふくさを左、上、下、右の順にたたみ、金封を包みます。

弔事で使う際は、ふくさをひし形になるように置き、ふくさの中央から右に寄せて金封をふくさの上に置きます。
ふくさを右、下、上、左の順にたたみ、金封を包みます。

ふくさの渡し方

一生の間にふくさを使う場面はなかなかないでしょう。ふくさを使うルールやマナーがあるとしても、かならず完璧な手順を踏む必要はありませんが、ルールを知っておくだけでいざというときに慌てずに済みます。

【慶事の場合】
ふくさが自分から右開きになるように持ち、ふくさから金封を取り出してふくさの上に置きます。時計回りにふくさを回して金封の文字が相手に見えるようにして渡します。渡す際にはお祝いの言葉を添えましょう。

【弔事の場合】
ふくさが自分から左開きになるように持ち、反時計回りに回して相手に渡します。渡す際にはお悔やみの言葉を忘れずに添えましょう。

ふくさがないときはハンカチで代用できる

弔事はもちろん、慶事でも急なお知らせが入ることがあり、ふくさを用意できないこともあるでしょう。そういう場合はハンカチで代用が可能です。

慶事には暖色系、弔事には寒色系を選ぶなど、それぞれにふさわしい色や柄を選ぶ必要がありますが、ふくさと同じように包めばふくさと同様に使えます。

ただし、ハンカチで代用できるのはあくまでも緊急措置です。大人のたしなみとして、慶弔使えるふくさを1枚用意しておきましょう。

まとめ

今回は、ふくさのマナーや包み方、忘れたときの代用品について解説してきました。ふくさは金封の型崩れを防ぐだけではなく、相手への思いを包んでいるともいえるでしょう。

いざというときに慌てないよう、ぜひ1枚用意しておくことをおすすめします。

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