ライオンズの若き龍・綱島龍生選手の活動報告 〈8〉公式戦初本塁打に安ど

 その一瞬、綱島龍生の乾いた打球音がヤクルト戸田球場に響き渡った。2軍ながらもついに出た、プロ3年目にして公式戦初となるホームラン。8月20日の東京ヤクルトスワローズ戦、イノーア投手の初球をライトスタンドに持っていった。

 「なかなか公式戦ではホームランを打てていなかったので、1本出てホッとしています」と興奮気味に振り返った。「相手投手のストレートが強いというのが分かっていたので、ストレート狙いで初球から振っていきました」という狙い通りの一発。綱島自身、打った瞬間に手応えを感じた。

 「前日までヒットすら出ていなかったので、まずは強く振ることを意識して打席に入りました」と冷静に振り返った。

 今シーズン、打率3割を目標にしている綱島。現在は2割ちょうど(1日現在)とその目標はまだ遠い。決して長打を狙うのではない。「ヒットを打つ」ことを意識して打席に立ち、思い描く打球はきれいなライナー。

 一時期は、遠征に帯同することができず、3軍選手として所沢に残留し、ライオンズ トレーニングセンターで黙々とマシンと対峙(たいじ)し汗を流す日々が続いた。

 綱島にとってつらく、長いと感じた期間。それでもようやく2軍ではコンスタントに出場することができるようになり、打順も1番に定着しつつある。「打席感が良く、振れている感じがする」と最近では表情から、気持ちに余裕が出てきたように見える。

 綱島の頑張りは地元ファンの励みにもなる。「コロナウイルスが落ち着かず、プロ野球を見に行くことはできないかもしれませんが、テレビで自分のプレーを見て、元気付けられるように頑張ります」。今夏、一段と黒く日焼けした綱島は少しずつ1軍への長い階段を上っていく。

日焼けした表情で守備練習を重ねる綱島(8月23日、球団広報部撮影)

 8月30日、本拠地のCAR3219フィールドで行われた東京ヤクルトスワローズ戦で今季第2号のホームランを放った。(西武ライオンズ広報部)

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