日本ハムOBから「中田翔放出」を予測する声 禍根残す〝処分公表〟の意図

日本ハム・中田翔

日本ハム・中田翔内野手(32)が、同僚選手への暴力行為で球団から自宅謹慎、出場停止処分となった〝事件〟は、日本ハムOBの間にも衝撃をもって、瞬く間に広まった。OBたちも一様に「当然、暴力をはたらいた翔は悪いし、反省しないと」としながらも、球団の対応にはクビをかしげている。

北海道移転後の日本ハムで一時代を築いたあるOBは「これまでにも選手同士のいざこざや、首脳陣と選手の間で暴力は、あるにはあったし。でもそれもいつも当事者同士で解決するなり仲裁に入る人間がいて、内々でおとがめを食らう程度だったし、当事者同士も、その後も禍根を残すことなくやってきたわけ。それを、いちいち球団が『こんなことがありました。処分します』ってアナウンスする必要があるのか? 疑問でしかない」。

OBたちはそれぞれ独自にチームに籍を置く後輩たちに事の真相を聞いて回った結果、多くのOBたちも中田が被害者の選手に謝罪し、被害を受けた選手も、公表を望んでいないという事実を把握している。

一方で「栗山監督は何してたの?」とボヤく声もある。中田の〝やんちゃぐせ〟は何も今に始まったことでない。中田が4番打者に上り詰めた20代の若かりしころは、師と慕う稲葉篤紀(日本代表監督)もまだ現役で、度を越した振る舞いがあった際は、チームメートがいる前でも稲葉や栗山監督ら当時の首脳陣が中田を叱ることは日常茶飯事。中田もその都度、素直に謝罪し聞く耳をまったく持ってないわけではなかった。

就任時から「翔を球界の4番に育て、何度も3冠王を取らせる」と公言した栗山監督がいる限り、そんな中田を良くも悪くも〝導く〟環境は現在も、普通に存在するものとOBの誰もが認識していたからだ。となると、その意図は「どう考えても、その流れとしか…」と、行きつく結論は主砲の放出だ。

それがトレードか、オフの自由契約になるのか…。日本ハムは2023年に北海道・北広島市に自前で建設した新球場を開場予定。その目玉として、早ければ今オフにも東京五輪での金メダル獲得が記憶にも新しい、OBの稲葉篤紀氏の新監督就任が取りざたされ、道民球団として新たなステージへと歩みを進めようとしている。残念ながらその担い手に中田が加わる可能性は、限りなく低くなっている。

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