【追う!マイ・カナガワ】異例の五輪 どうだった? 寄せられた、さまざまな声

 新型コロナウイルスの感染が拡大する状況で行われた異例の東京五輪。日本選手の金メダルラッシュに沸く一方で、神奈川県内や都内をはじめ全国で感染者数が過去最多を更新。帰省自粛も呼び掛けられる中で、無観客で繰り広げられた世界最大のスポーツの祭典をどう見たのか-。

 神奈川新聞「追う! マイ・カナガワ」取材班が行ったアンケートに寄せられた、さまざまな声を紹介する。

◆否定派が肯定派やや上回る

 アンケートは9~11日に「マイカナ友だち」を対象に実施。367人の回答のうち、五輪を「開催して良かった」は134人。「開催すべきでなかった」は158人、「どちらとも言えない」は75人だった。

 「開催して良かった」を選んだ横浜市南区の男子学生(20)は「勇気や元気をもらえた。友人とも電話をしながら観戦し、とても盛り上がった」と、五輪を満喫した感想を寄せた。同市緑区の看護師の50代女性は「開催すべきではないと思っていたが、多くの人が活躍した場面を見て気持ちが変わった」と打ち明け、同市鶴見区の保育補助の50代女性は「選手を見て感動した。準備に携わったスタッフやボランティアの方々にも拍手を送りたい」と選手や関係者らをねぎらった。

 一方、「開催すべきでなかった」とする人からは、コロナ禍での感染増を不安視する声が目立った。

 海老名市の会社員男性(59)は「コロナ対応に集中した方がよかった。学校の運動会を中止したのに、なぜオリンピックをやるのかが分からない」と思いを述べた。また、五輪のボランティア研修を受けたが、コロナ収束が見えず辞退したという50代のパート女性(横浜市保土ケ谷区)は「選手には悪いけれど、終わった今でもやらない方が良かったと思っている。医療従事者や仕事を失った人のことをもっと考えてほしい」と切実な思いを吐露した。

◆「感染拡大の要因」半数超

 県内では、五輪期間中の7月28日に1日当たりの新規感染者数が初めて千人を超え、8月6日には2千人も超えた。同2日には県内にも緊急事態宣言が出された。

 コロナの感染拡大について「五輪が要因となったと思うか?」との問いには、半数超の192人が「要因だと思う」と回答。寒川町の40代の会社員男性は「人流を抑える目的や大義名分が五輪開催でぼやけてしまい、感染者数激増につながったのは明らか」、鎌倉市の主婦(50)も「緊急事態宣言の重みが全く無くなってしまった」と意見を寄せた。

 「要因だと思わない」(122人)では「五輪前からみんな気が緩んで出かける人も多かった」(横浜市緑区の50代パート女性)や、「要因は分からない」(53人)では「根拠となるデータを知らないから」(同市港南区の57歳の会社員男性)との声もあった。

 24日に開幕するパラリンピックの開催賛否には、賛成が118人、反対が140人、どちらとも言えないが109人と、意見が分散した。「賛成」では「五輪を開催してパラリンピックをやらないというのは道理に合わない」(同市保土ケ谷区の42歳の会社員男性)との意見が多かった。

 「五輪開催が、今後の内閣支持率にどう影響する?」の問いには、「支持率低下に影響」と答えた人は235人で、「支持率上昇に影響」(9人)を大きく上回った。「復興五輪の精神もなく、なし崩し的に開催した五輪に支持率アップは望めない」(相模原市南区の60代女性)などと厳しい声が寄せられた。

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