「助かる命 救えなくなる」 長崎県医師会 4度目の「医療危機的状況宣言」

ワクチンの積極的な接種を呼び掛ける森崎会長=長崎市茂里町、県医師会館

 長崎県医師会は12日、新型コロナウイルスの感染が県内でも急速に拡大しているとして「医療危機的状況宣言」を出した。会見した森崎正幸会長は「この状況が続けば病床が逼迫(ひっぱく)し、助かる命を救えなくなる」と訴え、まん延防止等重点措置の適用を国に要請すべきとの考えも示した。
 同会が宣言を出すのは第4波の5月以来4度目。県外移動や不要不急の外出を自粛するなど感染防止策を徹底し、ワクチンの積極的な接種も県民に求めている。
 森崎会長は第5波の特徴について「長崎、佐世保などの都市部以外でも感染が広がっている。デルタ株の影響で拡大スピードがびっくりするほど速い」と述べた。
 県内の感染拡大傾向を巡っては、長崎大が6日、盆に人と人の接触を7割減らしたとしても新規感染者が1日140人に達するというシミュレーションを示した。これについて森崎会長は「起こり得ると思う」と危機感を募らせた。
 東京などで自宅療養が増加している状況については「(県医師会として)自宅療養者も診ていく」としながらも「患者を家で孤立させないことが重要」と指摘。医療従事者を常駐させた宿泊療養施設の体制整備が急務と訴えた。
 県は同施設を最大433床確保する計画だが、森崎会長は「病床を逼迫させないためにも600~700床は必要。風評被害を恐れ、反対する声もあると聞く。住民の皆さんには理解してほしい」と話した。
 直近1週間の県内新規感染者の8割が60歳以下で、県医師会はワクチン未接種層に感染が拡大していると分析。森崎会長は「副反応を正しく理解してもらい、若い人も積極的に接種を」と呼び掛けた。盆の帰省については「コロナ疲れで帰って来たい人もいると思う。その際は検査を受けて(陰性を確認し)行動してほしい」と求めた。


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