「五輪が終わった途端…」神奈川県藤沢市の海水浴場が休場へ 要請受け入れた組合の苦しい裏事情

神奈川・藤沢市の片瀬東浜海水浴場

神奈川県藤沢市の江の島周辺の海水浴場が今月16日から休場となる。江の島は8日に閉幕した東京五輪でセーリングの会場だったことから、五輪終了直後の休場に“五輪配慮”との不満も噴出したが、複雑な事情があった。

休場するのは片瀬東浜、片瀬西浜・鵠沼、辻堂の3か所。多くの若者や家族連れで、ごった返す湘南屈指の人気海水浴場で、多くの海の家が立ち並ぶ。

県内の海水浴場は開設・休場を巡って、対応が分かれた。隣接する鎌倉市は昨年に続き休場。その隣の逗子市は開設したものの緊急事態宣言の発令で途中休場し、オープンしていた海の家はわずか10日あまりの営業で大打撃を受けた。

2年ぶりに開設となった藤沢市は、緊急事態宣言が発令された後も海の家の営業時間が繰り上げられる措置が取られただけだったが、7日になって、県と市が海水浴場の休場と海の家の休業を要請。江の島海水浴場協同組合は、11日に要請の受け入れを表明した。

地元関係者は「緊急事態宣言が出ても海水浴場は閉まらなかったのに、五輪が終わった途端におかしい。海の家は書き入れ時で怒っている人もいれば、五輪を開催している時に海水浴場を閉場したくないから配慮したと言う人もいますよ」と話す。

県や市の対応に批判の声も寄せられるが、市の担当者は「五輪との関係性はない」と断言。そもそも県や市に休場を決定する権限がないという。海水浴場の開設権限は自治体が持つところがほとんどだが、藤沢市の場合は協同組合側にあり、開設、休場の決定権はあくまで組合にある。

市は組合に対し、県が定めたガイドラインの順守を要請していた中、開設後に禁止していた酒類を提供する海の家の存在が判明。先月30日に組合側に管理の厳格化を再度要請したが、それでもルールを破る行為が散見し、人流抑制を徹底するために7日に休場&休業の要請に至ったという。

組合は取材に「メディアへの対応は行っていない」としたが、関係者は「コロナ禍の状況で致し方なかった」と苦しい胸の内を明かした。海の家は飲食店扱いで、条件を満たしていれば協力金の対象になる見込みという。

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