核兵器禁止条約 「日本政府は参加を」7割  8.9の過ごし方 3割は「コロナで変化」 ナガサキポスト原爆・平和アンケート③

長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」のLINE(ライン)を活用した原爆や平和に関するアンケート(126人回答)で、今年1月に発効した核兵器禁止条約に日本政府が参加すべきかを尋ねたところ、約7割が「参加すべき」と答えた。「参加すべきでない」、「分からない」を大幅に上回った。

■「核兵器が当たり前の世界にいたくない」

日本政府は「核保有国と非保有国の『橋渡し役』を務める」として、条約に署名・批准していない。参加すべきと思う理由のほとんどは、被爆国として「当然」というもの。

参加すべきでない理由の多くは、「防衛手段として核の傘が必要」(大村市・20代男性会社員)など、米国の「核の傘」に言及していた。

一方、「分からない」と回答した大村市の50代男性会社員は「批准したとしても核という脅威から逃れることはできない」。

西彼長与町の40代主婦は「条約の必要性を感じつつも、反対、賛成にかかわらず、核兵器が常にあることが当たり前の世界に私はいたくない」との思いを明かした。

■核兵器廃絶のため…それぞれの思い

核兵器廃絶に向けて必要なことを尋ねると、西彼時津町の50代男性公務員は「核兵器を持つことで平和が守られるという間違った考えを変えてもらうこと」と回答した。

佐世保市の20代女子学生は「いかに核兵器が必要ないものか子どもの時から伝えること」と教育の重要性を強調する。

「国が先頭になって反対する」「各国との地道な対話」といった声もあり、核廃絶に向け、それぞれが思いを巡らせている一端を垣間見ることができた。

■コロナ禍で慰霊や継承の機会減るケースも

長崎原爆の日(9日)の平和祈念式典は新型コロナウイルス禍で、2年連続で大幅に規模が縮小される。祈りの日の「8.9」の過ごし方に変化があるのかを尋ねると、約3割の人が変化があったと回答した。

長崎市の被爆体験者で80代男性は「式典参列が途絶えた」。同市の50代女性会社員は「爆心地公園でのボランティアなどができにくくなった」と答え、山王神社の被爆クスノキの下で毎年、紙芝居を上演している同市の30代自営業女性は「自粛している」という。

「平和公園に入れない」「式典をテレビで見るようになった」「子どもたちの平和集会が放送になった」との声もあり、人が集まっての慰霊や被爆の実相を継承する機会が減っていることが浮かび上がった。

■コロナ禍でも「平和への気持ち変わらず」

一方、約7割の人は変化がなかった。諫早市の60代男性は「コロナ禍でも平和を願う気持ちは変わらず持ち続けている」。大村市の30代女性は「平和についてはその日だけでなく、日々考えることだから」。

「あなたにとって8月9日はどんな1日か」との質問には、「平和を祈る日」(長崎市・60代男性アルバイト)、「慰霊の日」(諫早市・50代男性公務員)、「たくさんの命が奪われて、今も続くその痛みを感じる日」(長崎市・50代パート女性)といった回答が大半を占めた。「一族の命日」(長崎市・40代男性会社員)との声もあった。

(後藤洋平)

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アンケートは7月24~31日にウェブ上で実施。質問は選択・記述式で計14問。10代以下~80代が回答し、50代が29%で最も多く、次いで40代19%、60代18%、30代16%など。県内のほか、熊本、東京、神奈川、和歌山などから回答があった。


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