長崎・島原半島を中心に記録的大雨 世界文化遺産 原城本丸跡で陥没も

地面が大きく陥没した本丸跡の広場=南島原市、原城跡(市教委文化財課提供)

 長崎県内は13日、島原半島を中心に記録的な大雨が降り、午後8時20分までの48時間最大降水量は雲仙岳743ミリ、島原545ミリ、南島原市口之津499ミリと3地点で観測史上最大に達した。避難指示対象は同6時現在、計約111万3千人に拡大。前線は15日にかけて停滞する見込みで、長崎地方気象台は引き続き土砂災害や河川の氾濫に厳重な警戒を呼び掛けている。
 同気象台によると、11日午前3時の降り始めから13日午後4時までの降水量は雲仙岳796ミリ、島原580ミリ、長崎市長浦岳577.5ミリ、南島原市口之津534ミリ、諫早465.5ミリ。
 県災害警戒本部などによると13日午後6時現在、死者を出した雲仙市の土砂崩れ以外にも、県内8カ所で崖が崩れ、民家2軒が一部損壊。長崎市三重町では12日午後9時10分ごろ、幅約20メートル、高さ約7メートル、奥行き約1.5メートルにわたって裏山が崩れ、土砂が民家の1部屋に流れ込んだが、50代女性は直前に別室に移り無事。同居の2人もけがはなく、このうち女性(81)は「不幸中の幸い」と話した。
 県によると、13日午前7時ごろ、同市宮摺町の主要地方道の路面が最大長さ約50メートル、幅約6メートルにわたり崩壊。全面通行止めとなり、長崎バスは宮摺-千々間の運行を終日見合わせた。
 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を構成する南島原市南有馬町の原城跡では、斜面の崩落など3カ所の被害を確認した。市教委によると、このうち本丸跡の地面は直径約5メートル、深さ約5メートルにわたって陥没。一帯を立ち入り禁止にした。
 高速道路は広範囲で通行止めに。JR九州は特急かもめのほとんどを運休し、普通列車も運休や遅延が相次いだ。松浦鉄道(MR)も午後からほぼ運休し、14日は始発から運行を見合わせる。

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