5位西武に切り札あり 外崎&源田コンビに辻監督「クリーンアップで勝負できる」

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

昨季33セーブ増田は黒星も復活不可欠、腓骨骨折で3か月離脱した外崎が今季初の猛打賞

■楽天 7ー6 西武(14日・メットライフ)

リーグ5位に低迷する西武は14日、本拠地・メットライフドームで行われた楽天戦に6-7で競り負け、33勝40敗14分で借金が今季最大の7に膨らんだ。首位オリックスとのゲーム差は「7.5」。2年ぶりの優勝へ、残されたカードは何か。

待ち望んだ顔が戻ってきた。4-4の同点で迎えた7回、昨季33セーブの増田達至投手が、5月1日の日本ハム戦以来105日ぶりに1軍マウンドに立った。4年契約1年目の今季は15試合0勝2敗8セーブ、防御率6.75の不振に陥り、5月4日に出場選手登録抹消。2軍での調整は3か月以上に及んだ。

先頭の太田にいきなり初球のスライダーを中前打され、続く辰己の送りバントは三塁手の中村が見送る中、三塁線上にピタリと止まり内野安打に。さらに小深田の送りバントで、1死二、三塁のピンチを背負う。

ここで鈴木大に対し、ストレート2球でカウント0-2と追い込んだものの、3球目の146キロが真ん中付近へ。プロ10年目のベテランにあっさり中犠飛を打ち上げられ、勝ち越しを許した。なおも2死三塁から浅村に対し、カウント2-2からの6球目が暴投となり2点目を献上。今季3敗目を喫した。

この日の最速は149キロ。辻発彦監督は「いい時には真っすぐで押していたので、今日は変化球が多い気もしたけれど、これはもう、1軍で気合の入った場面で抑えられれば違ってくると思う」と今後に期待する。というのも、今季の西武のリリーフ陣は、増田に代わって守護神の座に就き防御率0.23の平良海馬投手以外は不安定。チームの巻き返しに、増田の復調は不可欠なのだ。

日本ハムから移籍の平沼&公文、プロ初先発の20歳渡辺にも期待

一方、「1番・二塁」でスタメン出場した外崎修汰内野手は、5打数3安打で今季初の猛打賞。6回1死から左前打で出塁後、続く源田壮亮内野手の初球に二盗を決めるシーンもあった。開幕直後に死球を受けて左腓骨を骨折し、こちらも約3か月間1軍を離脱。ここにきて打撃が上向き、昨季からチームの懸案となっている「1番」に定着しつつある。守備で鉄壁の二遊間を組む源田と、打線でも1、2番コンビを形成している。辻監督は「こういう流れで1、2番が出塁してくれれば、クリーンアップで勝負できる」とうなずく。山賊打線復活の鍵を握る存在と言えそうだ。

さらに球団は後半戦スタートを前に、チーム生え抜き15年目の木村文紀外野手、3年目の佐藤龍世内野手を日本ハムへ放出。交換に23歳のホープ・平沼翔太内野手、左腕の公文克彦投手を獲得した。平沼は早速ベンチ入り。チームにとって新たなピースになりうる。

そして、15日の同カードでプロ初先発する渡辺勇太朗投手。浦和学院高時代に甲子園を沸かせ、ドラフト2位で入団した3年目の20歳右腕。指揮官は「緊張は当然するだろうが、とにかく持っているものを全て出し切れということ。逃げずにね。攻めて、いけるところまで頑張ってくれれば」と背中を押す。191センチ、91キロの大器がブレークするようなことがあれば、チームはグッと勢いづくだろう。

就任5年目の辻監督は昨季までに2度優勝し、Bクラスは1度もない。今季は開幕直後から故障者が続出し苦境が続くが、まだ諦めるわけにはいかない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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