最終日はスパ・フランコルシャン。首位ヌービルが逃げ切り、母国で今季初優勝/WRC第8戦ベルギー

 8月15日、WRC世界ラリー選手権第8戦ベルギーの競技最終日となるデイ3はSS17~20が行われ、ラリー初日から総合首位に立ちリードを守ってきた“地元のスタードライバー”ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が母国で2021年シーズン初優勝を飾った。

 ベルギー初のWRCイベントとして13日(金)に開幕したイープル・ラリー・ベルギー。同国伝統のターマック(舗装路)ラリーは、初日と2日目は西部の都市イープルを中心に展開されてきたが、最終日は東に約300km離れたスパ・フランコルシャン・サーキットへと移動して競技が行われた。

 デイ1午前最後のSS4終了時点で、僚友のクレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC)を逆転して総合首位に立ったヌービルはその後、初日に続きデイ2でもラリーリーダーの座を譲らず。総合2番手につけるチームメイトに対して10.1秒のギャップを持って競技最終日を迎えた。

 そのデイ3は、F1やWEC世界耐久選手権などが開催される伝統のオールドサーキットと、その周辺道路を組み合わせたふたつのステージを日中のサービスを挟まずに各2回走行するスケジュールが組まれており、オープニングとなったSS17では総合4番手につけるカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)がベストタイムをマーク。首位ヌービルは僚友オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)に次ぐ3番手タイムを記録した。

 続くSS18は総合2番手のブリーンがヌービルを上回るステージ3番手となりタイム差を縮めたものの、SS17の再走ステージとなったSS19ではベルギー人ドライバーがセカンドベストをマークした一方、彼のチームメイトは9秒以上遅れその差は24.3秒に拡がる。

 周辺道路からピットレーン入口を逆走するかたちでトラックに入り、ホームストレート、ラ・ソース、オールージュを走り、そこからUターンしてラリークロス・コースでフィニッシュとなる最終SS20でも両者の位置関係は変わらず。パワーステージに設定されたこのSS20でステージ3番手タイムをマークしたヌービルが、母国ベルギーで今季初優勝を果たした。ヒュンダイにとってはタナクが優勝した第2戦アークティック・ラリー・フィンランド以来の今シーズン2勝目だ。

 初日から優勝を争ったブリーンは30.7秒差の総合2位。これによってヒュンダイはワン・ツー・フィニッシュを飾っている。

 総合3位は前日からトヨタのロバンペラとエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)、セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)の3名によって激しい争われてきたが、SS17を制したロバンペラが、続くSS18でも2番手タイムを刻んでエバンスを逆転。ポジションをひとつ上げて3番手となる。

 前戦エストニアでWRC史上最年少優勝記録を更新した20歳のドライバーは、午後のSS19とSS20でもチームメイトを上回る走りを披露し、最終的にエバンスとのギャップを6.5秒に拡げてフィニッシュ。総合3位表彰台を獲得した。王者オジエはさらに6.2秒遅れ、総合5位でラリーを終えている。

 総合6位は、競技2日目朝にパンクに見舞われて後退したタナクだ。彼はSS18から3ステージ連続でベストタイムを記録し、パワーステージのボーナスポイント5点を獲得した。

 WRCの次戦第9戦アクロポリス・ラリーは9月9~12日、ギリシャで開催される予定だ。

カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第8戦ベルギー
エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第8戦ベルギー
クレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC) 2021年WRC第8戦ベルギー
セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第8戦ベルギー
新型マシン、ヒュンダイi20 Nラリー2でWRC2クラス優勝を果たしたヤリ・フッツネン

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