【夏の甲子園】高川学園が最大5点差跳ね返し〝史上最遅〟決着制す 松本監督「勝てたことが一番」

連日の悪天候で第4試合は大会史上最遅の午後7時10分開始となった

異例のナイターを劇的な形で制した。第103回全国高等学校野球選手権大会の第3日(15日)第4試合で高川学園(山口)が小松大谷(石川)を相手に7―6とサヨナラ勝ち。春夏通じて初の甲子園白星を挙げた。

5点を追う4回から猛反撃が始まった。一死二塁から4番・立石(3年)がカウント1―1から高めのスライダーを強振。ぐんぐん伸びた打球はバックスクリーンへと突き刺さった。それまで打ちあぐねていた相手先発・北方を攻略し、チームを勇気づける2ラン。その後も打線は二死満塁から9番・中村(3年)の左前適時打などで2点を追加し、打者一巡の猛攻によって1点差までに詰め寄った。

4―6となり、2点差に引き離された直後の5回も反撃は続いた。先頭の源(3年)が右翼への三塁打でチャンスメークすると、またも立石(3年)が中越えの適時三塁打。すぐさま1点差へと迫った。そして8回二死一、三塁から源の右前適時打で6―6とし、試合は終盤でタイスコア。最後は同点で迎えた9回一死満塁の場面でリードオフマンの山(2年)がサヨナラの押し出し四球を選んだ。

連日の悪天候により、大会第3日の4試合は3日連続で大会延期へと追い込まれていた。この日も午前中まで振り続いた雨の影響で第1試合は3時間遅れの午前11時にプレーボール。この第4試合も大幅にずれ込んで大会史上最遅の午後7時10分開始となり、試合終了も史上最も遅い午後9時40分の幕切れとなった。

大会本部の発表によれば、試合時間が確認できる1953年の第35回大会以降、これまでで最も遅い開始時刻は第47回(65年)の報徳学園(兵庫)―広陵(広島)で午後6時50分。そして最も遅い終了時刻は第50回(68年)の津久見(大分)―高岡商(富山)=延長12回=で午後9時27分だった。

試合後の松本祐一郎監督は「まず勝てたことが本当に一番。苦しい展開だったが、よく粘り強く戦ってくれたと思う。成長を感じる」と目を細めた。ナイターとなったことには「選手たちには特に特別なことを言わずに時間も気にせず、いつも通り試合ができることに幸せを感じながらやりなさいと伝えた」とコメント。あらためて「精神的にも技術的にも幼いチームだが、こうやって全国の舞台で活躍できるのはたくましく思う」とも述べ、胸を張った。

次の2回戦は大会第8日(20日)の第4試合で神戸国際大付(兵庫)と相まみえる。指揮官は「勝ちにこだわって一戦一戦を戦っていきたいと思う」と言葉に力を込めていた。

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