濡れた路面をスリックタイヤで走り切ったビンダー「最終ラップはまったく止まれなかった」/MotoGP第11戦決勝トップ3コメント

 MotoGP第11戦オーストリアGPの決勝レースがレッドブルリンクで行われ、MotoGPクラスで優勝したブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)、2位のフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、3位のホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)が会見に出席。レースを振り返った。
 

■ブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)/決勝:優勝

2021年MotoGP第11戦オーストリアGP:ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)

「昨日の夜は、今日表彰台を獲得することだけを考えて寝たよ。表彰台までがとても長かった。何度か表彰台に近づいたし、4位にもなったけれど、なかなか表彰台には戻ってこられなかった」

「正直言って、スリックタイヤでレースを続けると決める前は、ひどいレースだった。リヤタイヤは、今週ずっとグリップを感じられなかったんだ。ブレーキをかければどこでも滑ってしまい、スロットルを全開にしても前に進まない。すごく苦労していたよ」

「雨が降り始めてから、僕はトップ集団に追いついていった。あと4周だと考えていたら、マルク(・マルケス)が後ろを確認しているのが見えたから、ピットインしようとしているのがわかったんだ。僕は(ピットインするかどうか)決めかねていた。そして、トップ集団のライダーみんながピットに入っていくのが見えて、(スリックタイヤで)行こうと決めたんだ」

「最初のうちはよかった。でも残り2周は別ものだったね。残り2周の時点ではまあだいたいよかったけれど、最終ラップはブレーキが完全に冷えてしまって、とても止まれなかった。ブレーキすれば文字通り、転がりそうだと感じていた。だって、ブレーキレバーをいくら引いても、止まらなかったんだよ。コース上に留まるのに、ほんとに苦労した。でも、時には賭けに出ることもあって、今日、それがうまくいった。すごくうれしいよ」

■フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)/決勝:2位

2021年MotoGP第11戦オーストリアGP フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)

「表彰台を獲得できて満足しているよ。前回、表彰台に立ったのはヘレス(第3戦スペインGP)だったから、ここまですごく長かったね。この2週間、僕たちはすごく、すごく懸命に取り組んできた。先週にはけっこうよくなっていたんだ」

「今日はいい結果を手にできたけれど、大変だったよ。レースのスタートのときからちょっと雨が降っていた。大したことはなかったけれど、こういう状況ではペースを作るのがとても難しいんだ。でも僕はプッシュしようと頑張った」

「それから雨がだんだんひどくなってきて、トップに留まっているのが難しくなった。ペースを考えて、マルクを前に行かせたんだ。彼がどうするのか見てみようと思った。そして彼がバイクを乗り替えるためにピットに入ったので、僕もそれにならった。ただ、スリックタイヤで走るライダーたちがオーバーテイクしてるのを見ていたから、自分の判断が正しいのだろうかと自問していたよ。まだ5周くらいあったからね」

「バイクを乗り替えてからかなり攻めたけれど、雨で難しい状況だった。なぜかわからないんだけど、最初は雨のなかで、ブレーキングではスリックタイヤで走るよりももっと滑る感じがしたんだ。みんな同じ感じみたいだった。マルクもクラッシュしているし、ホルヘ(・マルティン)も同じように言っていたよ。それで、タイヤをなんとか温めて、最終ラップでは確か9人のライダーをオーバーテイクしたんだ。でも、ブラッドはもうはるか先を走っていた。この結果には満足しているよ。そして、初優勝も近づいていると思う」

「ブラッドが(スリックで優勝したことは)ものすごいことだよ。(終盤は)3コーナーや4コーナーがひどく滑る状況だったんだから。彼は今日、信じられないことをした。最高の仕事をしたと思う」

■ホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)/決勝:3位

2021年MotoGP第11戦オーストリアGP決勝 2位:フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、3位:ホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)

「このレースのすべてを説明しないといけないとしたら、僕はここにひと月も滞在することになるだろうね(笑)。僕はフロントにハードタイヤを履いてスタートした。今週末、ハードタイヤで走ったのは1周だけだったから、大きな賭けだったよ。自信はあったけどね。でも、前に出て引き離そうとした途端、少しはらんで4番手になってしまった」

「それにフロントタイヤがオーバーヒートしてしまい、ペースを作るのに苦労した。雨が降ってきてからはリスクを冒してトップ集団に追い付こうとして、オーバーテイクしていったんだ。ファビオ(・クアルタラロ)、ペッコ(※フランセスコ・バニャイアの愛称)、でも彼らは激しい表彰台争いを展開していた」

「それから路面が完全に濡れてしまうと、マルケスとペッコがピットに入っていった。そこで僕は『(バイクを乗り替えるのは)今だ』と思ったんだ。バイクの乗り替えにはナーバスになったよ。(ピットで)止まれなくて、危うく転ぶところだった」

「レインタイヤでもウエットコンディションを走るのはすごく大変だったよ。ブラッドにはおめでとうと言いたい。スリックタイヤで完走するのは、ほんとにすごいことだったと思うから」

「最終ラップでは、僕は11番手だったと思う。スリックタイヤで走るべきだったかも、とも思った。3コーナーでは集団がいて、『よし、全力で攻めるときだ』と思った。その集団に追い付いたときに、僕は7番手だったんじゃないかな。そこで6、7人のライダーを抜いたと思う。みんなを避けるのが大変だったよ。そしてフィニッシュラインを3位で通過できた。ものすごくうれしいよ。もしかしたら先週よりもね。この1週間半で起こったことを考えるにはちょっと時間が必要だね。2連戦で、2度のポールポジション、2回表彰台を獲得するというのは、よくあることだから」

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