「我々のことをマクラーレンだと知ってほしい」とザク・ブラウン。タイトルスポンサーは必要ないと主張

 マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザク・ブラウンは、将来マクラーレンがタイトルスポンサー契約を結ぶことに反対する気はないが、譲ることのできないふたつの条件があるという。

 マクラーレンが最後にタイトルスポンサー契約を結んだのは2013年のことで、イギリスの多国籍通信会社『ボーダフォン』とのものだった。それ以来チームは複数の補助的な商業契約に頼っており、ブラウンの管理のもと、その数は増加を見せている。モータースポーツにおけるマーケティングの第一人者として、ブラウンが専門知識とネットワークを活用したおかげだ。

2013年F1第16戦インドGP ジェンソン・バトン(ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス)

 タイトルスポンサー契約とそれに伴う高額のスポンサー料は、以前ほどF1には見られなくなっている。このことは、とりわけメディアの状況の変化を表しているようだ。デジタル化の出現により、多国籍企業はターゲット層にリーチするために広告費用を複数の媒体に投資しているのだ。

 メルセデスは忠実なパートナーであるペトロナスとタイトルスポンサー契約を結んでいる。またフェラーリは長期にわたる商業関係を、フィリップモリスと『ミッション・ウィノウ』ブランドを通じて築いている。また、ザウバーが最近アルファロメオとのタイトル契約を延長した。

 ブラウンは大規模企業中心のパートナーをマクラーレンに迎えることに反対してはいないが、彼がいる限りグループの中核となる自動車ビジネスとタイトル権を割譲するのは、問題外であるという。

「それは彼ら独自のものだと思う」とブラウンは語った。「どの企業も独自のビジネスモデルがある。私はチーム名をマクラーレンとしたい」

「タイトル契約をすることはあるだろうか? それはあるだろう。積極的にその話を進めているか? それはない。私がタイトルブランドの販売を行いたいと思っているか? それはノーだ」

「我々のことをマクラーレンだと知って欲しい。私は我々のカラーを気に入っている。このカラーは非常に重要な我々のファンたちと共鳴してきたと思う」

「我々のビジネスモデルは、我々が行っていることの上に成り立っている。それは偉大なパートナーたちと組むことであるが、タイトルスポンサーを必要としてはいない」

2021年F1第8戦シュタイアーマルクGP金曜会見 ザク・ブラウン(マクラーレン・レーシング CEO)

 ブラウンは、契約完了時にマクラーレンの予算に影響が出る可能性を最小限に抑えるという点で、小規模なパートナーを揃えることの利点について強調した。しかしスポンサーが活性化することで得られる恩恵については、ブランドにとっても同様に重要だ。

「タイトルスポンサーが、小切手に多額の金額を書いた時代はもう去ったと思う。それにタイトルスポンサーと契約しようとすると、要求が多すぎるのだ」

「私はむしろスポンサーシップをパートナーのポートフォリオとして拡大したい」

「もうひとつ、Cisco Webexはグローバルテレビキャンペーンで素晴らしい仕事をしている。我々のパートナーが、我々を活気づけてくれることは非常に重要だ」

「したがってデルとシスコ、デウォルトが世界中でマクラーレンブランドの認知度を上げてくれれば、一社にすべてを託すよりもより良い結果になる」

2021年F1第11戦ハンガリーGP ダニエル・リカルド(マクラーレン)

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