13日夕、山が崩れ一部が土砂に埋まった雲仙温泉街(長崎県雲仙市小浜町)の八万地獄。土砂崩れの起点から北に約210メートルの距離にある市の水道施設で15日、亀裂が見つかり、温泉街の32世帯52人が市の多目的ホールに避難した。国土交通省職員らが16日、現地調査に入った。
市は亀裂と八万地獄を結ぶ一帯で土砂崩れが起きる恐れがあるとして15日午後、土砂崩れが起きた場合に被害が及ぶとみられる古湯地区などの住民、旅館・ホテル、商店などに避難を要請した。
市によると、水道施設近くで、土砂が滑り落ちて約20~30センチの段差を発見。目視で確認できる範囲で段差が八万地獄の方向に続いていたため「亀裂が以前からあったのか、今回の大雨が原因か分からないが、土砂崩れの可能性があり緊急的に避難が必要」と判断した。市の対策本部会議で避難要請を決め、国交省に現地調査を依頼した。
15日夜、避難住民は不安な夜を過ごした。古湯地区の自治会長、加藤宗俊さん(66)は「山が家の裏手にあり、小石が流れてきていた。過去の雨ではなかったこと。避難せずに市や消防の手間をわずらわせ、森さん家族の捜索作業を遅らせてはいけないので、みんな積極的に避難している」と話した。16日夜も避難は続いた。
また県によると、雲仙温泉街では配管の損傷などでお湯が出ないホテル・旅館が7施設あり、6施設が休館している。県の担当者が17日、各施設に聞き取りをし、支援策を検討するという。