「先が読めない」長崎県の営業時短、宿泊割停止… 繰り返す“我慢の日々”

休館の掲示を見て驚く県外からの観光客=長崎原爆資料館

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、長崎県内の飲食店などに対する営業時間の短縮要請と県民限定の県内宿泊割引キャンペーンのいったん停止が10日始まった。各事業者は繰り返される“我慢の日々”に頭を抱える。長崎市の35観光施設も23日まで休館し、閑散とした。
 県は6日、感染段階を示す独自のステージを「4」に引き上げた。お盆前後、帰省などによる人の流れの増加を警戒。飲食店などへの時短要請は長崎市が4回目、他の市町は3回目。
 原則、午後8時までの時短営業が始まった飲食店。県内27店舗を展開するひぐちグループ(西彼時津町)の担当者は「7月は売り上げが戻ったので時短のショックは大きいが、感染抑止が最優先」と要請に従う。
 同グループの大衆割烹樋口築町店(長崎市)とジョイフル城山店(同)は6月、感染対策の徹底を証明する県などの認証を取得。客足回復の追い風になったが、7月下旬から再び下降。割烹樋口は、お盆向けオードブル販売で新たな需要を掘り起こしている。
 「例年なら帰省客でにぎわう時期だが、時短要請の繰り返しで気持ちが疲れる」。23日までの休業を決めた同市船大工町の鉄板懐石「オモミ」の平山一則オーナー(70)は「長引くなら昼営業も考えなければいけない」と思案する。
 県民宿泊割引キャンペーンのいったん停止は2回目。9月10日分までの予約を受け付けないため、県旅館ホテル生活衛生同業組合の塚島宏明専務理事は「夏休みの需要がなくなり厳しい。先が読めない。感染が広がらないよう願うしかない」と話した。
 雲仙市小浜温泉街の旅館山田屋は5、6月合わせて約35日間、休館し、7月から通常営業に戻した。今回の停止期間中に入っていた約100件の予約のうち、約半数がキャンセルか日程変更に。町田康則社長(70)は「お盆以降は厳しい。ワクチン接種が進んでも収束しない。いつコロナ禍から解放されるのか」とため息をついた。
 10日から休館となった長崎市平野町の長崎原爆資料館前では、知らずに来た県外の観光客らが驚きの声を上げた。家族5人で訪れた福岡県飯塚市の芹野智之さん(36)は「学校で平和学習をしたばかりの子どもの希望で来たが仕方ない」と残念がった。

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