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長崎市麹屋町に60年ほど前まで使用されていた井戸の手押しポンプの土台が残っている。通称「幽霊井戸」。民話で有名な「産女(うぐめ)の幽霊」の教えで井戸を掘り当てたとされ、今はふさがれている。
民話では、近くの光源寺の墓に埋葬された妊婦が赤ちゃんを出産し、母乳代わりの飴(あめ)を与えて育てた。同寺では毎年8月16日に幽霊像が開帳されるが、コロナ禍で2年連続中止。「幽霊井戸」では麹屋町自治会が毎年夏に井戸祭りを営んできたが、こちらも昨年から中止している。
同町の泉屋喜久雄さん(72)は「水道が普及する前は、井戸水をじゃぶじゃぶ使っても枯れることはなく、夏はスイカを冷やした」と振り返る。「水の恵みと幽霊への感謝の気持ちを込め」て年中、土台に盛り塩をしている。