ポルシェも獲得に動く。元F1ドライバーのナッセ、2023年に向けた複数のオファー認める

 F1からスポーツカーレースに転向し、現在はIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で戦うフェリペ・ナッセは、ポルシェが2023年のトップラクス・プロトタイプに関する契約で彼にアプローチしてきたメーカーのひとつであることを認めた。ブラジル出身の彼は、モータースポーツ界における“プライムタイム”になると感じている。

 元F1ドライバーで2018年にはIMSAシリーズの最高峰DPiクラスでチャンピオンを獲得したナッセは、2023年シーズンにLMDhプラットフォームのクルマとル・マン・ハイパーカー(LMH)が登場するなか、市場のトップドライバーのひとりであると考えられている。

 Sportscar365は、ナッセと彼の仲間で同じくIMSA DPi王者であるデイン・キャメロンがポルシェとの取引に近づいていることを理解している。これはウェザーテック・スポーツカー選手権とWEC世界耐久選手権でLMDhプログラムを行うポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの名簿に彼らが含まれる可能性があることを意味する。

 ナッセはドイツのメーカーと話をしたか、と尋ねられたとき、「彼らはそのひちのひとつだ」と答えた。

「交渉が行われる時期だ。これまでにいくつかのアプローチがあった」と述べた彼はLMDhとLMH、両方のメーカーから関心が寄せられているという。

 ナッセは、ポルシェと同じく2023年にデビューが予定されているフェラーリのLMHプログラムのドライバー候補リストにも含まれていることが理解されている。

 ザウバーでのF1スティントの後、28歳でスポーツカーに転向した彼は、経験豊富な耐久レースドライバーの需要が高まっているなかで「タイミングは正しい」と語った。

 ナッセは過去3年間、アクション・エクスプレス・レーシング(ウィレン・エンジニアリング・レーシング)に所属し、セブリング12時間やプチ・ル・マン(ロード・アトランタ10時間)といった主要な耐久レースで勝利を重ねてきた。

 今シーズンもピポ・デラーニとのコンビで上記チームの31号車キャデラックDPi-V.Rを駆り、ワトキンス・グレンとロード・アメリカで優勝。IMSA DPiクラスでランキング2位につけている。

31号車キャデラックDPi-V.Rを駆り、第6戦ワトキンス・グレンで優勝したフェリペ・ナッセ(右)とピポ・デラーニ(左)

■ナッセ移籍の場合はアール・バンバーが後任か

「3、4年前にスポーツカーレースに参加し、そこで結果を出してチャンピオンシップを勝ち取ったことで、リストのトップに立ったことを非常にうれしく思う」とナッセ。

「ここが僕の居場所であり、そこはおそらくLMDhの時代を迎える。数多くのメーカーが参加するのを見ると、モータースポーツ界全体にとって“プライムタイム”になると思う」

「素晴らしいレースになるだろう。これはドライバーやチームが自分たちの名前を歴史に残す絶好の機会になると思う。スポーツカーレースへの転向は成果を上げている。僕はそこで経験と知識を得ることができ、とても満足しているんだ」

「僕にはまだ優勝したいチャンピオンシップが残っているので、将来についてはその後に考えようと思っている」

 ナッセがポルシェと契約した場合、ドイツメーカーのLMDh開発プログラムに参加するため、今季限りで31号車キャデラックから降りることになると考えられている。

 最近、チップ・ガナッシ・レーシングのキャデラックDPi-V.Rをテストしたと理解されている元ポルシェ・ワークスドライバーのアール・バンバーは、2022年にナッセのシートを引き継ぐ可能性のあるドライバーのひとりだ。

 現在ナッシュビルに住んでいる“キウイ”はSportscar365の取材に対し、自身の将来の計画について「何も言うことはない」と述べた。バンバーを取り巻く状況は今後数カ月以内に確認されると予想される。

ウィレン・エンジニアリング・レーシングの31号車キャデラックDPi-V.R

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