諫干請求異議差し戻し審 国、開門余地残す和解拒否 開門派は対応を批判

 国営諫早湾干拓事業の開門確定判決を巡る請求異議訴訟差し戻し審の進行協議が18日、福岡高裁(岩木宰裁判長)であり、国は「開門の余地を残した和解協議の席に着くことはできない」として同高裁が示した和解協議を拒否する考えを示した。開門派は国の対応を批判し、対話に応じるよう求めた。非公開の進行協議後、開門派弁護団が明らかにした。
 国は会見で、開門せず、有明海再生に向けた基金で和解を目指すことが「最良の方策との考えに変わりない」と強調。一般論として「あくまでも和解による解決を求めている。非開門を前提とした和解協議なら真摯(しんし)に検討する用意がある」とした。このまま和解協議が不調に終わり、判決へと進む可能性も出てきたが、「(これまでの裁判所の審理で)国の主張は尽くした」との認識を示した。
 一方、開門派弁護団によると、同高裁は進行協議で国に対し、▽国が言う「非開門前提の和解協議」の具体案▽開門派が提案している今後の具体的な和解協議の進め方への見解-の2点について、次回進行協議(9月22日)の1週間前までに示すよう要求。国も了承した。
 2010年の開門確定判決を巡り、潮受け堤防閉め切りと漁業被害との因果関係を訴える漁業者側に開門を強制しないよう国が求めた請求異議訴訟の差し戻し審では、同高裁が今年4月、同事業を巡る問題を「統一的、総合的かつ抜本的に解決するためには、話し合いによる解決のほかに方法はない」として、和解協議を文書で提示。「開門」「非開門」の方向性は示さず、話し合いの前提条件は付けていない。
 国は内容を公にしていないが、同弁護団によると、国は前回進行協議後の7月30日、「開門の余地を残した和解協議の席に着くことはできない」とする意見書を提出。18日の進行協議で国は「意見書の通り」との対応に終始したという。馬奈木昭雄弁護団長は「裁判所は議論する場。意見を一切言わない国の態度は明らかにおかしい」と批判した。

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