長雨、コロナ禍… 長崎商、精神力高め次戦へ 主将 青山 兄に続きチーム支える 第103回全国高校野球選手権大会

異例の大会の中、主将としてチームを元気づける青山(中央)=堺市(長崎商提供)

 16日に甲子園で69年ぶりの勝利を挙げた長崎商は、22日第1試合の2回戦で専大松戸(千葉)に挑む。雨続きで順延が史上最多となり、コロナ禍で辞退校も出た異例の大会。チームは1回戦後のPCR検査で全員の陰性が確認され、可能な限りの対策を講じながら次への準備を進める。さまざまな思いを胸に今、できることに徹している。
 背番号3の青山隼也(としや)は、二つ上の兄航太朗さんに続いてチームの主将を任される大黒柱。母の百恵さんが語る。「航太朗が桜が丘小1年でソフトボールを始め、隼也も幼稚園年中からやって。小さい頃からすごく仲良し。2年前は朝だけで、ご飯は8合。エンゲル係数は高かったけど、楽しんでいた」。ずっと一緒に甲子園を目指してきた。
 兄の世代も秋と春に2季連続九州大会に出場したが、夏は県準決勝で敗れ、その切符を逃した。「航太朗を見ていて、きついことの方が多そうだったから、できればキャプテンはしてほしくなかった。そんなタイプでもないし…」。そんな母の気持ちとは逆に、西口監督が「兄ちゃんと同じで実直」と評する弟も立派なリーダーに成長。兄の分まで聖地を踏み締めた。
 迎えた16日の1回戦。長崎から応援に駆けつけた兄は「きれいですごいなと感動した。うらやましかった」。2年前は1年生だった後輩たちから贈られた甲子園をかみしめた。弟は途中出場ながら円陣の中心で冷静に指示を送って仲間を勇気づけ、九回は最後のアウトを一塁で大切に捕球。「とにかく楽しもうと回を追うごとに長商らしい野球ができた」と振り返った。
 次の相手は右の好投手を擁する春の関東王者。左の強打者でもある弟へ、兄は「(激しいスタメン争いで)悔しさとかもあると思うけど、チームを第一にチャレンジャーとして挑んでほしい」とエールを送る。
 雨の中で難しい調整を続ける弟は「みんなの状態はいいので、とにかく落とさず精神力を高めていく。自分もチャンスがあれば結果を出していいところを見せたい。長崎に帰ったら、いろんなことをいっぱい話したい」。異例の大会だから、それぞれの土産話にも価値がある。

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