朝日新聞はカール・ルイスを見習え!|花田紀凱 大成功に終わった東京五輪。しかし、朝日新聞はどうにもケチをつけなければ気がすまないらしい。矛盾に満ちた朝日社説の欺瞞を徹底批判!

朝日社説の嫌味

今さらだが、朝日新聞というのはつくづく嫌な新聞だ。

東京五輪が閉幕した翌8月9日の朝刊。1面トップが「東京五輪 閉幕」はいい。

その隣に「菅内閣支持28% 最低」と世論調査の結果を発表している。

コロナ感染者が増え(五輪とは関係ないのだが)、菅内閣に批判が集まるのを見越して、通常月半ば以降の世論調査を前倒しで実施したのだろう。

散々、紙面で選手の活躍を報じてきたのだから、菅総理以下、関係者の皆さん、ご苦労さまくらいのことが書けないのか。

社説も嫌味たっぷり。

産経が「全ての選手が真の勝者だ 聖火守れたことを誇りたい」。読売が「輝き放った選手を称えたい 運営麺での課題を次に生かせ」。毎日ですら「古い体質を改める契機に」。

毎日は1面で小坂大東京五輪・パラリンピック報道本部長がこう書いている。

〈1年半も自粛生活を続けた人々にとっては苦しい日々を少しでも忘れられる時間となったのではないか。〉
ところが朝日の社説「混迷の祭典 再生めざす機に」と題してこう書く。
〈安倍前政権から続く数々のコロナ失政、そして今回の五輪の強行開催によって、社会には深い不信と分断が刻まれた。〉

そして5月26日の社説「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」について、こう繰り返す。

〈国民の健康を「賭け」の対象にすることは許されない。コロナ禍は貧しい国により大きな打撃を与えた。スポーツの土台である公平公正が揺らいでおり、このまま開催することは理にかなわない。〉

そんな五輪がいやなら、無視すりゃいいのに

ならば、この社説を書いた朝日新聞論説委員にぜひ伺いたい。

10日から開かれる夏の高校野球、あれは国民の健康を「賭け」の対象にしていないのか。参加校約3600、1チーム70人としても2万5200人の選手数は、東京五輪参加選手約1万1092人の倍以上だ。

一部有力校が、全国から有力選手をスカウトしたりしているのは、「公正公平」なのか。

寡聞にして、朝日がこのことを問題にしたのを知らない。

ついでに書いておくと9日の朝日、27ページのうち15ページ強を東京五輪関係の記事、広告に割いている。そんなに批判するなら無視すりゃいいのに。

この日の朝日の東京五輪関連記事でいちばん、まともだったのは、出身地の新潟で聖火ランナーをつとめた小林幸子さん(歌手)の「モノクロームな心 選手が色を点けてくれた」というインタビュー記事だった。

〈コロナ禍の1年半、私の心の中の風景はモノクロのままでした(中略)でも、今は違います。五輪を見て、色鮮やかな思い出が、幾つもできました。色をつけてくれたのは選手たち。「ありがとう」。感謝の気持ちでいっぱいです。〉

もうひとつ、五輪で9つの金メダルを獲得したカール・ルイスの言葉を紹介したい(8月8日読売新聞)。

〈それにしても日本はよくぞ大会を開催してくれた。このコロナ禍で、オリンピックを成功させられる国は世界にもほとんどない(中略)無観客でも選手たちは、大会を開いてくれたことに感激し、いいパフォーマンスを見せようと全力を尽くした。(中略)今大会のヒーローは日本の皆さんだ。〉

朝日も、これくらいのことを書いたらどうか。

花田紀凱

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