物議を醸した白鵬の五輪観戦 危うさ感じる相撲協会との「認識のズレ」

優勝45回の偉業を達成した白鵬だが…

【取材の裏側 現場ノート】大相撲の横綱白鵬(36=宮城野)が東京五輪を観戦して物議を醸した。柔道会場の日本武道館を訪れた写真がSNSに投稿されて発覚。新型コロナウイルス禍で無観客開催となった会場内に入れるのは競技関係者やメディアなどに限られており、ネット上では「何で入れるの」「無観客なのに特別扱い?」などと疑問の声が相次いだ。

白鵬は不正な手段で入場したわけではない。母国のモンゴル五輪委員会のアンバサダーを務めていたことを根拠に理解を示す意見もあった。コロナ禍でなければ、日本の国技の担い手として文化交流に貢献していたことだろう。ただ、今回はチケットホルダーが観戦をあきらめ、選手の家族でさえ会場に入れない状況。多くの人が違和感を覚えたことも確かだ。

日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「国が無観客と決めている。横綱として失格。常識、非常識が全く分かっていない」と断じた。白鵬は7月の名古屋場所で優勝45回を達成する一方で、雄たけびやガッツポーズなどの振る舞いが問題視されたばかり。ここへきて相撲協会と白鵬の「認識のズレ」がさらに広がっていることに危うさを感じずにはいられない。

先場所の優勝で進退問題を乗り越え「東京五輪まで現役」の目標は実現した。この先、大横綱はどこへ向かうのか。

(大相撲担当・小原太郎)

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